質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一二九号

「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月七日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」に関する質問主意書

 財務省は平成三十年六月四日「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」(以下「本件報告書」という。)を公表した。これについて、質問する。

一 本件報告書の「Ⅵ.一連の問題行為の総括」の「(2)一連の問題行動の評価」として、三十八頁に、「①国権の最高機関である国会への対応として、上記のような決裁文書の改ざん作業を行い、改ざん後の文書を提出したことは、あってはならないことであり、不適切な対応だったと言わざるを得ない。」との記述がある。この「不適切な対応」とは具体的にどのような意味か。また、平成三十年三月二十八日の参議院予算委員会において参議院事務総長が、決裁文書の提出要求は「参議院委員会先例二八一、報告又は記録の提出要求に関する例に基づき、憲法六十二条に定める国政調査権の行使である国会法第百四条による成規の手続を省略して行われたもの」であると答弁したとおり、改ざん文書を国会に提出した政府の行為は国政調査権の行使を妨害するものと考えられるが、当該「不適切」とは、国政調査権の行使を妨害したとの政府の認識を含むものと理解してよいか。仮に含まないとする場合は、その理由を詳細に述べられたい。

二 本件報告書の三十八頁に、「②上記のような応接録の取扱いについても、国権の最高機関である国会への対応として、不適切な対応だったと言わざるを得ない。」との記述があるが、ここでいう不適切な対応とは具体的にどういう意味か。当該応接録については、度重なる国会質問に対して政府は一貫して廃棄した旨を答弁してきたところであるが、政府として国会の内閣監督を妨害し、国政調査権の行使を妨害してきたとの認識があるか。

三 本件報告書の三十八頁に、「③会計検査院による会計検査に対して、廃棄されずに残された応接録の存在を明かさなかったり、改ざん後の決裁文書を提出したことは、不適切な対応である。この会計検査が、参議院予算委員会の要請に基づき行われているものであることを踏まえれば、国権の最高機関である国会との関係でも、問題のある対応だったと言わざるを得ない。」との記述がある。この「不適切な対応」及び「問題のある対応」とは具体的にどのような意味か。また、平成三十年三月二十八日の参議院予算委員会において参議院事務総長は、会計検査院に対する検査要請は「憲法第六十二条に基づく国政調査権の行使として国会法第百五条の規定に基づ」く検査及びその報告要請である旨答弁したとおり、改ざん文書を会計検査院に提出した政府の行為は国政調査権の行使を妨害するものと考えられるが、当該「不適切」及び「問題」とは、国政調査権の行使を妨害したとの政府の認識を含むものと理解してよいか。仮に含まないとする場合は、その理由を詳細に述べられたい。

四 本件報告書には国政調査権との関係についての記述が一切ないが、なぜ、前記一及び三の参議院事務総長の答弁があるにも関わらず、本件報告書において当該関係が一切触れられていないのか。政府は、本件報告書で報告されている改ざんや廃棄行為等について、これらと国政調査権との関係について検証を行ったのか、また、これらは国政調査権との関係で全く問題を生じていないものと考えているのか。

五 前記一及び三の参議院事務総長の答弁があるにも関わらず、国政調査権との関係が一切触れられていない本件報告書は、国会及び国民に対する調査報告書の名に値しない言い訳と誤魔化しのためのものである。このような調査報告書を公表する政府は国会を否定し議会制民主主義を冒涜するものであり、安倍総理及び麻生大臣は国務大臣を務める資格がなく、安倍内閣は即刻総辞職するべきではないか。

六 本件報告書の「Ⅵ.一連の問題行為の総括」の「(1)一連の問題行為の目的等」として、三十六頁に、当時の本省理財局の幹部職員や理財局長は、「国会審議が相当程度紛糾するのではないかと懸念し、それを回避する目的で改ざんを進めた」旨記述があるが、「相当程度」及び「紛糾」とはそれぞれ具体的にどういう意味か。また、「紛糾」すると誰に対して何が困ると財務省職員は考えたのか、説明されたい。

七 麻生財務大臣は平成三十年六月四日の記者会見で財務省職員の改ざんの動機について「それが分かれば苦労しない。それがわからないからみな苦労している。」旨発言したが、財務省による「徹底的な調査」の結果、本件報告書においても財務省職員が改ざんを行った動機は未だ不明ということか。当該動機が解明されている場合はそれを説明した上で、麻生財務大臣の当該発言との整合性について説明されたい。

  右質問する。