質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一二八号

いわゆる「道徳」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月六日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   いわゆる「道徳」に関する質問主意書

 文部科学省のホームページに掲載されている平成二十七年三月に一部改正が告示された小学校学習指導要領の第三章「特別の教科 道徳」の第二の「A 主として自分自身に関すること」では、「正直、誠実」の項において、第一学年及び第二学年で「うそをついたりごまかしをしたりしないで、素直に伸び伸びと生活すること。」、第三学年及び第四学年で「過ちは素直に改め、正直に明るい心で生活すること。」、さらに第五学年及び第六学年で「誠実に、明るい心で生活すること。」について扱うとされている(以下「道徳科の内容」という。)。これらを踏まえ、いわゆる「道徳」に関する安倍政権の基本的認識について、以下質問する。

一 「道徳」とは何か、安倍政権としての認識及び定義を明確に示されたい。

二 前記一に関して、道徳科の内容にある「うそをついたりごまかしをしたり」する行為は、安倍政権の「道徳」に関する認識及び定義に鑑みた場合、「道徳」の規範から外れる行為であるとの理解でよいか、明確に示されたい。

三 前記一に関して、道徳科の内容では「過ちは素直に改め」としているが、これに反する行為、すなわち「過ちを素直に改めない」行為は、安倍政権の「道徳」に関する認識及び定義に鑑みた場合、「道徳」の規範から外れる行為であるとの理解でよいか、明確に示されたい。

四 一般論として、総理大臣を含む閣僚あるいは官僚等が、国会において事実と異なる答弁を行うことは、道徳科の内容における「うそをついたりごまかしをしたり」に当てはまるものであるとの理解でよいか、安倍政権の認識を明確に示されたい。

五 一般論として、決裁を受けた行政文書を官僚等が改竄し、当該改竄文書を政府が国会に資料として提出することは、道徳科の内容における「うそをついたりごまかしをしたり」に当てはまるものであるとの理解でよいか、安倍政権の認識を明確に示されたい。

六 一般論として、総理大臣を含む閣僚あるいは官僚等が、国会において事実と異なる答弁を行い、かつ当該答弁に対して国会において疑義を指摘されたにもかかわらず、当該答弁を行った者が当該答弁の撤回あるいは謝罪をしないことは、道徳科の内容で求めている「過ちは素直に改め」に反する行為、すなわち「過ちを素直に改めない」行為に当てはまるものであるとの理解でよいか、安倍政権の認識を明確に示されたい。

七 前記一、二、四及び五に関して、第二次安倍内閣発足以降、安倍政権としての国会答弁あるいは安倍政権として国会へ提出した資料等について、道徳科の内容における「うそをついたりごまかしをしたり」に当てはまると安倍政権として認識しているものは、現時点でいくつ存在するか、その数と内容を具体的かつ網羅的に示されたい。なお、該当する国会答弁あるいは国会提出資料等が一件も存在しない場合は、「一件も存在しない」と明確に答弁されたい。

八 前記一、三及び六に関して、第二次安倍内閣発足以降、総理大臣を含む閣僚あるいは官僚等が、国会において事実と異なる答弁を行い、かつ当該答弁に対して国会において疑義を指摘されたにもかかわらず、当該答弁を行った者が当該答弁の撤回あるいは謝罪をせず、道徳科の内容が求めている「過ちは素直に改め」に反する行為、すなわち「過ちを素直に改めない」行為に当てはまると安倍政権として認識するものは、現時点でいくつ存在するか、その数と内容を具体的かつ網羅的に示されたい。なお、該当する答弁が一件も存在しない場合は、「一件も存在しない」と明確に答弁されたい。

九 前記一から八までの質問に対する答弁は、安倍政権として誠実に答弁されたものであるとの理解でよいか。

十 前記一から九まで、及び今次財務省において行われた一連の行政文書改竄問題を踏まえて、安倍政権が、「特別の教科 道徳」の章を小学校学習指導要領に設け、児童の道徳教育に関与することは適切であるか、安倍政権としての認識を、その理由とともに明確かつ誠実に示されたい。

  右質問する。