質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一二三号

精神障害者の非自発的入院と障害者権利条約の趣旨に関する第三回質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月五日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   精神障害者の非自発的入院と障害者権利条約の趣旨に関する第三回質問主意書

 平成三十年五月二十二日付けで提出した「精神障害者の非自発的入院と障害者権利条約の趣旨に関する再質問主意書」(第百九十六回国会質問第一一三号。以下「再質問主意書」という。)では、平成三十年四月十七日付けで提出された「参議院議員川田龍平君提出精神障害者の非自発的入院と障害者権利条約の趣旨に関する質問に対する答弁書」(内閣参質一九六第六三号。以下「答弁書」という。)の「六及び七について」に記された「障害の存在そのものを理由とするのではなく、自傷他害のおそれがある場合等には、適法に行われ得ることについて、おおむね意見が収れんしたものと認識している」との解釈を可能とする根拠を示すように求めた。
 しかし、平成三十年六月一日付けで提出された「参議院議員川田龍平君提出精神障害者の非自発的入院と障害者権利条約の趣旨に関する再質問に対する答弁書」(内閣参質一九六第一一三号。)は、障害者の権利に関する条約(以下「障害者権利条約」という。)を批准したときの同条約第十四条の趣旨からみた精神障害者に対する非自発的入院制度の政府の解釈である「障害の存在そのものを理由とするのではなく、自傷他害のおそれがある場合等には、適法に行われ得ることについて、おおむね意見が収れんしたものと認識して」いると答弁書と同じ答弁を繰り返すばかりで、再質問主意書に対する答弁となり得ていない。
 また、再質問主意書の趣旨は、障害者権利条約アドホック委員会(以下「アドホック委員会」という。)における同条約第十四条の議論の過程と政府の解釈との矛盾を疑うものであるため、同条約第十四条の趣旨に限って根拠をお答えいただきたい。

一 障害者の権利に関する委員会の「十四条ガイドライン」のパラグラフ7には、アドホック委員会での議論において、自由の剥奪の禁止という文言に「のみ」等の制限を加えることについて、自傷他害の危険など他の要件と結び付けられた自由の剥奪が起こることを懸念した多くの政府が反対したこと、この問題は第七回アドホック委員会において決着したことが記述されている。この記述は、答弁書の「六及び七について」で示された「障害の存在そのものを理由とするのではなく、自傷他害のおそれがある場合等には、適法に行われ得ることについて、おおむね意見が収れんしたものと認識している」との答弁と大きく異なることになるが、異なる理由についての政府の認識を明らかにされたい。

二 日本政府は、第五回及び第七回アドホック委員会において、障害者権利条約第十四条の草案について、「障害(disability)」の前に「もっぱら(exclusively)」か「単に(solely)」を付け加える提案を行ったが、採用されなかった。第五回及び第七回アドホック委員会において日本政府の提案が採用されなかった理由を示されたい。

三 日本政府は、精神障害者の非自発的入院は精神障害の存在のみを理由として行われるものではないこと等により、障害者権利条約第十四条に違反しないと解釈している。この解釈は、前記二のアドホック委員会における日本政府の同条約第十四条に関連する提案と同じ考え方に基づくものであると考える。アドホック委員会で採用されなかった提案と同じ考え方に基づく解釈が可能であると考える根拠について政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。