質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一一八号

商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律の運用等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年五月二十九日

徳永 エリ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律の運用等に関する質問主意書

 商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律案は、平成二十九年六月八日に参議院に提出され、同月十四日に参議院本会議において賛成多数をもって可決、次いで同月十六日の衆議院本会議において全会一致をもって可決・成立し、同月二十三日に施行された。
 同法第一条は、「鯨類は重要な食料資源であり、他の海洋生物資源と同様に科学的根拠に基づき持続的に利用すべきものであるとともに、我が国において鯨類に係る伝統的な食文化その他の文化及び食習慣を継承し、並びに鯨類の利用に関する多様性が確保されることが重要である」としている。我が国は、この旨を国際社会に粘り強くかつ実直に訴えてきた結果、カリブ諸国やアフリカ諸国などから支持と期待を寄せられ、得難い国際的役割と地位を培っている。
 一方、本法律に基づき政府が定めることとされている、鯨類科学調査を安定的かつ継続的に実施するための基本的な方針等は、近々定められるものと承知している。
 本法律の運用等に関し、以下質問する。

一 現在、我が国が実施している新南極海鯨類科学調査計画及び新北西太平洋鯨類科学調査計画(以下「両計画」という。)は、同法附則第二項に定める経過措置に基づき、第六条に基づき農林水産大臣が策定する「鯨類科学調査の実施に関する計画」(鯨類科学調査計画)として位置付けられるのか。

二 同法第三条第一号は、鯨類科学調査について、「主として商業捕鯨の実施のための科学的知見を得ることを目指して実施されること」と定めている。
 両計画が同法第六条に基づく鯨類科学調査計画として位置付けられる場合、両計画は、主として商業捕鯨の実施を目指して実施されるものとなるのか。

三 我が国は、昭和六十二年から南極海において、平成六年から北西太平洋において、捕獲を伴う鯨類科学調査を実施してきた。
 両海域における鯨類科学調査によって得られた成果は如何なるものか。特に商業捕鯨の実施に向けて解明された主要な生物学的及び生態学的情報を具体的に示されたい。

四 同法第十五条第三項は、「政府は、捕鯨を取り巻く国際環境の改善を図るため、関係国との連携及び関係国への働きかけの強化その他必要な外交上の措置を講ずるものとする」と定めている。捕鯨に関して我が国がこれまで培ってきた国際的役割と地位を踏まえ、政府は、如何なる基本的姿勢をもって、本規定を運用するのか。

  右質問する。