質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇七号

在日米軍機による超低空飛行訓練に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年五月十六日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   在日米軍機による超低空飛行訓練に関する質問主意書

 米軍が動画サイトに開設している「USAミリタリーチャンネル」に、平成三十年四月二日付で、戦闘機(以下「当該戦闘機」という。)が住宅地の真上や風力発電所の風車の間をすり抜けるように超低空飛行訓練(以下「当該超低空飛行訓練」という。)を行う模様を当該戦闘機のコックピットから撮影したとみられる映像(以下「当該映像」という。)が投稿された。報道によれば当該戦闘機は在日米軍三沢基地所属のF-16戦闘機であり、当該超低空飛行訓練が行われた地域は青森県から岩手県であると報じられている。平成十一年一月十四日、日米合同委員会は在日米軍の低空飛行訓練についての合意事項(以下「当該日米合意事項」という。)を公表しているが、当該日米合意事項に反する在日米軍機による低空飛行訓練はこれまでも繰り返し行われており、当該映像によって当該日米合意事項が米軍により確実かつ誠実に履行されていない実態が改めて明らかとなった。以上を踏まえて、在日米軍機の低空飛行訓練に関して、政府の認識を確認すべく以下質問する。

一 当該映像を政府として確認しているか明らかにされたい。確認しているとする場合、確認したのはいつか、その日時を明確に示されたい。なお、当該映像を政府として確認していない場合は、当該映像を確認の上、以下の各質問に対して答弁されたい。

二 当該映像を最初から順を追って見た場合、当該戦闘機は、わが国のいかなる自治体の上空をいかなる経路で飛行しているものと考えられるか、政府の見解を明確に示されたい。加えて、当該映像にて確認し得る湖水、山岳、平野等及び建築物あるいは施設等の構造物の名称を、当該映像の最初から順を追って、政府として確認し得る範囲で具体的に示されたい。

三 報道によれば当該戦闘機は在日米軍三沢基地所属のF-16戦闘機であるとされているが、政府としての認識をその根拠とともに明確に示されたい。

四 当該日米合意事項において「在日米軍は、国際民間航空機関(ICAO)や日本の航空法により規定される最低高度基準を用いており、低空飛行訓練を実施する際、同一の米軍飛行高度規制を現在適用している。」としているが、当該超低空飛行訓練は、在日米軍が「現在適用している」とする米軍飛行高度規制と同一の「国際民間航空機関(ICAO)や日本の航空法により規定される最低高度基準」を遵守したものであるか、政府としての認識を明確に示されたい。

五 当該映像において、当該戦闘機は風力発電所の風車のタワーよりも低い高度で風車の間を通過しているが、当該タワーの高さと「国際民間航空機関(ICAO)や日本の航空法により規定される最低高度」はどちらが高いか、政府の見解を明確に示されたい。

六 当該映像の確認後から本質問主意書に対する答弁書作成時点までの間に、米軍側に対して政府から当該超低空飛行訓練に関して事実関係の確認等、何らかの連絡を取った事実は存在するか。当該事実が存在する場合、それは当該超低空飛行訓練に関する事実関係の確認のみ行ったのか、あるいは当該超低空飛行に対する抗議も併せて行ったのか、連絡を取った日時とともに明確に示されたい。

七 前記六に関して、何らかの連絡を取った事実が存在しないとする場合、本質問主意書に対する答弁書作成時点までに当該超低空飛行訓練に関する事実関係の確認あるいは抗議を行わなかった理由は何か、明確に示されたい。加えて、今後政府として当該超低空飛行訓練について米軍側に事実関係の確認あるいは抗議を行うことを検討しているか、明確に示されたい。

八 前記六及び七に関して、何らかの連絡を取った事実が存在せずかつ今後政府として当該超低空飛行訓練について米軍側に事実関係の確認あるいは抗議を行うことを検討しないとする場合、それは如何なる理由によるものか、政府の認識を明確かつ誠実に示されたい。

九 前記二、三及び六に関して、当該映像で確認しうる当該戦闘機の飛行区域において、当該超低空飛行訓練の他に、在日米軍機が低空飛行訓練を行った事実は過去に存在するか明らかにされたい。加えて、過去にも当該飛行区域において在日米軍による低空飛行訓練が行われた事実が存在する場合、政府として米軍側に抗議を申し入れた事実は存在するか、政府として把握している事実を網羅的かつ明確に示されたい。

十 小渕内閣は在日米軍機の飛行ルートについて、平成十一年八月十三日に提出された「衆議院議員濱田健一君提出在日米軍による低空飛行訓練に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質一四五第三八号)の一の3についてで「米軍が飛行訓練の目的達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たすとの観点から、一定の飛行経路を念頭において飛行することがあること、及び最大限の安全を確保するため、米軍は、低空飛行訓練を実施する区域を継続的に見直していることは承知しているが、具体的なルートの詳細等については、日米合同委員会の場においても確認しておらず、承知していない。具体的ルートの詳細等は、米軍の運用にかかわる問題であり、これらを明らかにするよう米側に求める考えはない。」と答弁しているが、安倍内閣においても当該答弁における認識及び方針に変わりはないのか、その理由とともに明確に示されたい。

十一 前記一から十に関して、在日米軍機による当該超低空飛行訓練は「米軍が飛行訓練の目的達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たす」ものであり、かつ「最大限の安全を確保するため」、在日米軍によって「低空飛行訓練を実施する区域を継続的に見直」された、当該日米合意事項を満たす適切な訓練であるとの認識を政府として有しているのか、明確に示されたい。

十二 在日米軍機による低空飛行訓練に関して、当該日米合意事項の他に、日米合同委員会において合意された事項は存在するか、存在する場合は、その具体的内容を網羅的かつ明確に示されたい。加えて、当該超低空飛行訓練を踏まえて、当該日米合意事項を見直す必要性を政府として認識しているか、明確に示されたい。

  右質問する。