質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇三号

我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会附帯決議の意味に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年五月一日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会附帯決議の意味に関する質問主意書

 平成二十七年九月十七日、参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会(以下「平和安全法制特別委員会」という。)において、「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案に対する附帯決議」(以下「附帯決議」という。)が採択された。
 そこには、「二、存立危機事態に該当するが、武力攻撃事態等に該当しない例外的な場合における防衛出動の国会承認については、例外なく事前承認を求めること。現在の安全保障環境を踏まえれば、存立危機事態に該当するような状況は、同時に武力攻撃事態等にも該当することがほとんどで、存立危機事態と武力攻撃事態等が重ならない場合は、極めて例外である。」とある。
 これを踏まえ、質問する。
 なお、政府は、平成二十七年九月十九日に「平和安全法制の成立を踏まえた政府の取組について」において「五党合意の趣旨を尊重し、適切に対処するものとする」と閣議決定をしていることから、政府は附帯決議の各規定の意味について明確に理解していると考えられるので、以下の質問について丁寧に回答されたい。

一 附帯決議第二項にある「武力攻撃事態等」とは、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(以下「事態対処法」という。)の第一条に定める「武力攻撃事態等」の趣旨と同じ、すなわち、「武力攻撃事態」(事態対処法第二条第二号)及び「武力攻撃予測事態」(事態対処法第二条第三号)を意味すると考えられるが、政府としてもそのように理解していると解してよいか。仮に同じ趣旨と理解していない場合、他にどのような事態が含まれると政府として理解しているのか。

二 「存立危機事態に該当するが、武力攻撃事態等に該当しない例外的な場合」について、横畠内閣法制局長官は、平成二十七年九月十四日の平和安全法制特別委員会において、「いわゆるホルムズ海峡の事例のように、他国に対する武力攻撃それ自体によって国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことになるという例外的な場合が考えられるということは否定できませんが、実際に起こり得る事態というものを考えますと、存立危機事態に該当するのにかかわらず武力攻撃事態等に該当しないということはまずないのではないかと考えられると思います」と答弁しているが、ホルムズ海峡の事例以外には、具体的にどのような場合があると考えているか。

三 安倍内閣総理大臣は、平成二十七年七月二十九日の平和安全法制特別委員会において、「現実の安全保障環境を踏まえれば、存立危機事態に該当するような状況は同時に武力攻撃事態等にも該当することが多い(中略)が、存立危機事態に認定されるような場合が同時に我が国に対する武力攻撃が予測あるいは切迫しているとは認められないこともあり得る(中略)。存立危機事態を認定して自衛隊に防衛出動を命ずる場合には、事前の国会承認により難い場合に事後承認が認められておりますが、原則はあくまでも事前承認であることから、政府として、存立危機事態であるが武力攻撃事態でない場合も含めて可能な限り国会の事前承認を追求していく考えであります。」と答弁している。
 この答弁と、附帯決議第二項の内容は矛盾しないのか。すなわち、安倍総理の「存立危機事態を認定して自衛隊に防衛出動を命ずる場合には、事前の国会承認により難い場合に事後承認が認められておりますが」との答弁と、「存立危機事態に該当するが、武力攻撃事態等に該当しない例外的な場合における防衛出動の国会承認については、例外なく事前承認を求めること。」との附帯決議の内容が矛盾するとも思えるが、これらの関係について、政府の考えを具体的に示されたい。

  右質問する。