質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第九一号

内閣による衆議院の解散権の行使と法の支配及び立憲主義との関係等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年五月一日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   内閣による衆議院の解散権の行使と法の支配及び立憲主義との関係等に関する質問主意書

一 安倍内閣の認識する法の支配と立憲主義の趣旨について明らかにされたい。また、法の支配と立憲主義はどのような法的な関係があると考えるか、示されたい。

二 昭和五十三年九月三十日の参議院本会議において、福田総理は「解散権は政府に専属した非常に重大な権限であり、また、貴重な権能でありますから、これをみだりに行使するというようなことは、これは断じて許すべきものでない」、「解散権の行使、これは本当に厳正、厳粛な立場においてこれをとり行うべきでありまして、これを党利党略のために使うとか、ましてや派利派略のためにこれを行使するというがごときことは、これは断じて排していかなければならぬ」と答弁しているが、これは憲法第七条に基づく内閣による衆議院の解散権の行使についての法的な制約を述べたものであるのか、政府の見解を示されたい。

三 昭和五十四年四月十九日の衆議院内閣委員会において、大平総理は「衆議院の解散権はいやしくも乱用すべきものではないという御趣旨と承知いたしております」、「解散権は、先ほどもお話がございましたように、いささかも乱用すべきものではないことは申すまでもございません」と答弁しているが、これは憲法第七条に基づく内閣による衆議院の解散権の行使についての法的な制約を述べたものであるのか、政府の見解を示されたい。

四 前記二及び三における内閣による衆議院の解散権についての「みだりに行使するというようなことは、これは断じて許すべきものでない」、「これを党利党略のために使うとか、ましてや派利派略のためにこれを行使するというがごときことは、これは断じて排していかなければならぬ」、「いやしくも乱用すべきものではない」、「いささかも乱用すべきものではない」との両内閣総理大臣の答弁を踏まえると、もし、内閣による衆議院の解散権がみだりに行使されたり、党利党略や派利派略のために行使されたり、乱用されたりした場合には、その解散権の行使は憲法が立脚する法の支配に反することになると考えるべきではないのか、あるいは、法の支配の観点から何の問題も生じないと考えるのか、政府の見解を示されたい。

五 前記四について、もし、内閣による衆議院の解散権がみだりに行使されたり、党利党略や派利派略のために行使されたり、乱用されたりした場合には、その解散権の行使は憲法が立脚する立憲主義に反することになると考えるべきではないのか、あるいは、立憲主義の観点から何の問題も生じないと考えるのか、政府の見解を示されたい。

六 前記二及び三について、憲法第七条に基づく内閣による衆議院の解散権の行使については憲法上の法的な制約は何ら存在しないと考えているのか、政府の見解を示されたい。

七 前記四及び五について、憲法第七条に基づく内閣による衆議院の解散権の行使については憲法が立脚する法の支配あるいは立憲主義の原理から何らかの制約が存在し得ると考えているのか、あるいはこれらの原理との関係からも何の制約も存在しないと考えているのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。