質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第八三号

排痰補助装置の普及に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年四月二十五日

小川 勝也   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   排痰補助装置の普及に関する質問主意書

 神経筋疾患等の疾病や高齢、障がい等により自力で痰の排出が困難となった場合、喀痰吸引を行い、気道を確保して窒息を防ぐとともに誤嚥性肺炎などの感染症への感染を防ぐ必要がある。現在、一定の研修を受けた介護職員等により、一定の条件下で喀痰吸引が実施されているほか、痰の排出を容易にし、窒息や誤嚥性肺炎などを防ぐ排痰補助装置(商品名カフアシスト等)が一部の患者に対して使用されている。排痰補助装置は患者の自然な呼気を促す装置であることから、近年、同装置を使用した呼吸ケアや排痰ケア全般に及ぶ効果が知られ、その普及が期待されているところである。
 そこで、喀痰吸引の需要等の現状と今後の見通しを踏まえた上で、排痰補助装置の普及を推進する観点から、以下質問する。

一 喀痰吸引を必要とする、現在及び将来の患者数を推計しているか。推計している場合、その患者数をそれぞれ示されたい。

二 喀痰吸引を実施することができる介護職員等の数は、現在十分に確保されているか、また将来においても十分に確保される見通しであるか、それぞれ政府の認識を伺う。現在不足している又は将来不足すると認識している場合は、当該介護職員等を確保するため現在検討している方策を併せて明らかにされたい。

三 診療報酬の算定上、排痰補助装置の使用については排痰補助装置加算が設けられているが、その算定要件は、人工呼吸を行っている入院中の患者以外の神経筋疾患等の患者に対して排痰補助装置を使用した場合とされており、人工呼吸を行っていない患者が排痰補助装置のみを使用する場合や、入院中等に排痰補助装置を使用する場合は該当せず、保険が適用されない。このため、人工呼吸は要しないものの排痰補助装置を必要とする患者に対して、排痰補助装置と合わせて人工呼吸器も処置されるケースもあると聞く。排痰補助装置加算の算定要件を、人工呼吸を行っている入院中の患者以外の患者が使用した場合に限定している理由を伺う。

四 人工呼吸を行っていない患者又は入院中若しくは外来受診の患者に対しても排痰補助装置の使用は有効であり、またそのニーズもある。中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会においては、日本小児神経学会等から、人工呼吸器を装着していないが自力での排痰が困難な患者が入院中や外来受診時に排痰補助装置を使用する場合を含めた排痰補助装置治療を新設して保険収載する必要がある等の医療技術再評価提案書が累次にわたり提出されているところである。次期診療報酬改定においては、排痰補助装置に関する診療報酬の算定要件を見直し、人工呼吸の実施の有無又は在宅時、入院中若しくは外来受診時であるか否かを問わず排痰補助装置の使用を診療報酬の算定対象とし、保険を適用する必要があると考えるが、政府の見解を伺う。

五 排痰補助装置加算は在宅療養指導管理料(在宅人工呼吸指導管理料)に加算されるが、在宅療養指導管理料の算定のため毎月少なくとも一回通院することは、患者にとって本人の負担となるばかりでなく、通院を補助するヘルパーの確保に苦慮するという状況がある。そこで、継続的に排痰補助装置を使用する患者であって通院に困難を抱えるものについては、病状に大きな変化がない場合等には通院の頻度を柔軟に設定しても排痰補助装置加算を受けられるようにする必要があると考えるが、政府の見解を伺う。

六 排痰補助装置を在宅で使用するためにはその介助者が必要であるが、介助者の養成を推進する意思が政府にあるか伺う。

  右質問する。