質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第七〇号

タクシーを始めとする旅客運送をめぐる諸課題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年四月十二日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   タクシーを始めとする旅客運送をめぐる諸課題に関する質問主意書

 タクシー事業やこれに関連する最近の施策については、旅客運送の安全にも影響を与えかねない様々な課題が表出していることから、以下質問する。

一 日本のタクシーは諸外国に比べて運転の安全性や、サービスの質、加えて責任体制等において世界一といわれている。その一因として、日本では法人タクシー制度が過去から維持されてきており、運送に関する諸問題はその法人事業者が責任をもって対処することが課されていることが挙げられる。
 「ライドシェア」は、このタクシーサービスの質の高さを維持する一因となってきた法人タクシー制度自体の基盤を危うくする可能性がある。それだけではなく、交通網の発達や人口減少が続く中にあっても都市部を中心に供給過剰の状態にある。こうした状況の下、「ライドシェア」を導入する必要性があるのか疑問がある。安全の確保、利用者の保護等の観点から問題がある「ライドシェア」の導入は過当競争によりタクシーの質の低下を招くおそれもあり、人命に直結する問題である。
 従って、「ライドシェア」導入を検討するに当たっては、「ライドシェア」の導入がタクシー運転者の雇用やタクシー事業・バス事業の経営に与える影響、「ライドシェア」に従事する運転手の収入、「ライドシェア」が輸送の安全に与える影響、「ライドシェア」に起因するトラブルの事例等について、「ライドシェア」が普及している外国における事例を調査し、検証する必要があると考えるが、この調査・検証を実施しているか明らかにされたい。実施しているとすれば、その内容を明らかにするとともに、調査・検証の結果に対する評価を示されたい。

二 訪日外国人旅行者を対象とした、当該旅行者と出身国が同じである者による白タク行為が増加しているという。この白タク行為については取り締まりを厳に強化すべきと考えるが、最近五年の当該白タク行為の年度別検挙件数と併せて、政府の見解を明らかにされたい。
 また、当該白タク行為を行った外国人の中には「友達の友達を乗せただけ」という弁明を行い検挙を免れようとする者がいると聞いているが、このような者をどのように検挙していく方針か明らかにされたい。

三 近時、タクシー配車サービスの開発、利用が盛んになってきている。もちろん、利用者の利便性が向上するのは、歓迎すべきことであるが、このタクシー配車サービスを活用したビジネスモデルの中には、同サービスの利用に係る経費が運転者負担となっているものがある。
 二〇一四年一月に施行された、特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律の国会審議の際に付された、衆議院国土交通委員会の附帯決議(平成二十五年十一月八日)の十三においては「事業に要する経費を運転者に負担させる慣行の見直し等賃金制度等の改善等に努める」と、同じく参議院国土交通委員会の附帯決議(平成二十五年十一月十九日)の九においては「事業に要する経費を運転者に負担させる慣行の見直し」とそれぞれ明記されている。これらは、行政が言う所謂「労使の関係で解決するべきもの」とは違い、運転者の賃金に直結するものであることから、衆参両院の附帯決議にも明記されているのである。
 これらの附帯決議の趣旨から、タクシー配車サービスの利用に係る経費を運転者に負担させることがないよう、同サービスの事業者に厳しく指導すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。