質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第六二号

闘病中の高校生の学びの支援に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年四月六日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   闘病中の高校生の学びの支援に関する質問主意書

 いわゆるAYA世代のがん患者に対する支援としての、闘病中の高校生の学びの支援については、「国会がん患者と家族の会」からの意見も踏まえ、がん対策推進基本計画(第三期)に反映されていると承知しているが、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標四「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」という観点からも、同基本計画における高校生の学びの支援の実効性が課題となっているので、以下質問する。

一 現在、全国には小児がん拠点病院が十五箇所あるが、東京と神奈川の小児がん拠点病院にしか高等部は設置されていない状況にある。高校進学率が九十七パーセントを超えている時代にこのような状況では、闘病中の高校生の教育を受ける権利が妨げられているのではないか。

二 ICTを活用した遠隔教育だけでは、得られない学びがある。また、大阪や神奈川では、入院先への出張授業を行い、原籍校にはその分の教員数を欠員として補充しているようだが、北海道のように原籍校と小児がん拠点病院との距離が離れている場合は、小児がん拠点病院内の教育施設として高等部を設置するしかない。多くの闘病中の高校生や、彼ら彼女らを支えている家族、そして医師の切実な願いが全国から私のところに届いている。全国の小児がん拠点病院に、高等部の設置を義務付けるべきではないか。

三 小児がん拠点病院に設置した院内学級(以下「院内学級」という。)に転籍した生徒が元気になったため原籍校に復学しようとする場合、公立の小中学校にはほぼ問題なく復学できるが、特に私立高校は一度退学すると復学するのは困難であるのが実態である。高校生が在籍できる院内学級が設置されていても、原籍校に復学することができないのであれば休学・留年してでも学籍は変更しないなど、院内学級への転籍を躊躇する高校生は少なくない。全国には、岩手県、埼玉県、長野県、岐阜県、福岡市など、障害児を対象とした副籍、支援籍などといった制度がある自治体もあるが、例えば東京都では、長期入院生徒は副籍の対象になっていない。院内学級への転籍前に在籍していた学校に学籍を残しつつ、療養中は院内学級にも在籍できる二重学籍を、私立学校も含め認めるべきではないか。

四 院内学級への教師配置数は、五月一日時点での院内学級の在籍生徒数で決まるため、五月一日より後に院内学級への転籍があっても教師は配置されず、院内学級が開始されるまで時間がかかる原因となっている。このため、教師配置数は過去一年間の院内学級への在籍生徒数をふまえて決めるべきではないか。特に高校生の場合は年度当初から院内学級に在籍する生徒は少ないため、五月一日時点の在籍生徒数で院内学級への教師配置数を決められると、まるで院内学級にニーズがないかのように見えてしまい、高校の院内学級を設置しようとするせっかくの動きに水を差す結果になりかねないのではないか。

  右質問する。