質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第四六号

北朝鮮における残留日本人問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年三月二十日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   北朝鮮における残留日本人問題に関する質問主意書

 平成二十六年五月のストックホルム合意において、北朝鮮側が調査を実施することとされた残留日本人の問題について、政府の認識と方針をお伺いします。

一 終戦時、北朝鮮地域には二十七から二十八万人の在留邦人(居住者)と旧満州南域から北朝鮮地域を経て日本に向かう約七万人の邦人(引揚者)が存在しましたが、北朝鮮地域に侵入したソ連軍が三十八度線を遮断したため、これらの邦人は北朝鮮地域の各地の学校や民家に収容されました。政府は、ソ連軍が三十八度線を遮断した理由をどのようにお考えですか。政府の認識をお示し下さい。

二 ソ連軍管理地域であった北朝鮮地域に在留していた邦人については、南朝鮮への脱出等による引揚げや、昭和二十三年七月まで米ソ協定による集団引揚げが行われましたが、以後、朝鮮民主主義人民共和国の成立及びソ連軍の撤退等により引揚げは中断されました。
 政府は、朝鮮民主主義人民共和国の成立及びソ連軍の撤退等が残留日本人問題の発生原因であるとお考えですか。政府の認識をお示し下さい。

三 昭和三十一年に、日本赤十字社は、北朝鮮側と引揚げに関する共同コミュニケ(平壌協定)の調印に達し、同協定に定められた十六世帯・三十六名が帰国しています。このとき、全ての残留日本人の帰国が実現しなかった原因はどこにあるとお考えですか、政府の認識をお示し下さい。

四 厚生省は、昭和三十五年一月一日現在で、北朝鮮地域に最終消息のある残留日本人の名簿(第一回名簿:百四十名分、第二回名簿:八百七十一名分)を作成し、日本赤十字社を通じて北朝鮮赤十字会に手交し、その安否調査を依頼しています。平成二十六年五月のストックホルム合意において、政府は、北朝鮮側に残留日本人の消息について前記の名簿に基づく調査を要請しましたか。また、政府は、本質問主意書提出日現在において何人の残留日本人が北朝鮮で生存していると認識していますか。

五 「戦時死亡宣告者」とは、どのような人であると定義していますか。また、政府は、戦時死亡宣告されたものの、実際は生きていた方が北朝鮮地域内に何人生存していると認識していますか。あわせて、「戦時死亡宣告者」は、平成二十六年五月のストックホルム合意で北朝鮮側が実施することとされた調査の対象に含まれているのですか。

六 「残留孤児」とは、どのような人であると定義していますか。また、政府は、「残留孤児」が北朝鮮地域内に何人生存していると認識していますか。あわせて、「残留孤児」は、平成二十六年五月のストックホルム合意で北朝鮮側が実施することとされた調査の対象に含まれているのですか。

七 安倍首相及び加藤拉致問題担当大臣は、拉致問題は政府の最重要課題であり最優先で取り組んでいると累次にわたり明言しています。政府にとって拉致問題が残留日本人問題に優先する理由を教えて下さい。

  右質問する。