質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第三三号

HIV感染者数を減少させるための数値目標の設定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年三月七日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   HIV感染者数を減少させるための数値目標の設定に関する質問主意書

 私が第百九十五回国会に提出した「HIV感染症を減少させるための医療政策に関する質問主意書」(第百九十五回国会質問第五五号)に対する答弁(内閣参質一九五第五五号。以下「答弁書」という。)の一についてで、政府は「国連合同エイズ計画は、二千三十年までに世界的な後天性免疫不全症候群(中略)の流行を止めるためには、二千二十年までに御指摘の「90-90-90」の目標を達成することが有効であるとしていると承知している。」としている。しかし、先般改正された「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」(以下「エイズ予防指針」という。)においては、この「90-90-90」(ケアカスケード)も含め、国内におけるHIV感染者数の減少に資する各種指標について、何ら数値目標を設定していない。

一 HIV感染者数を減少させるためには、前記ケアカスケードの各項目(自らのHIV感染を知っている者の割合、そのうちHIV感染症の治療を受けている者の割合、そのうち体内のウィルス量を低く抑える状態を実現している者の割合)等について、国際比較が可能な形で、かつ目標達成年限を設定した上で、具体的な数値目標を設定すべきと考える。
 そして、その数値目標の達成に向けた取組及び達成状況についてモニタリングを行い、エイズ予防指針のさらなる改正につなげるなど、PDCAサイクルを回していくのがHIV感染者数の減少に効果的である。
 以上の所見に対する政府の見解を明らかにされたい。

二 HIV感染者数を減少させるための効果的な対策を講じるには、正確な現状の把握が必須である。この点に関し、答弁書の二についてでは、前記ケアカスケードの各項目の日本での現状について、政府による調査ではなく、「The HIV care cascade:Japanese perspectives」のデータを引用して答弁しているが、政府として実施した調査による数値により答弁できない理由を示されたい。

三 日本国内におけるHIV感染者の発生動向をより正確に把握するためには、HIV抗体検査の受診者数の把握のみならず、前記ケアカスケードの各項目を始め、都道府県等からの報告がない者も含めて年間何人がHIVに感染し、このうち何割の者がHIV抗体検査を受けたのかについて、感染からの経過年数ごとにより正確に推計することが重要と考えられる。
 これらHIV感染者数の減少に資する各種指標の数値を国として把握するための方針を明らかにされたい。

  右質問する。