質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第二〇号

JR総連系労組への浸透が指摘され続けている革マル派の現状と実態に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年二月十五日

川合 孝典   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   JR総連系労組への浸透が指摘され続けている革マル派の現状と実態に関する質問主意書

 政府が「共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団」と認定している革マル派の動向について、警察庁警備局は「治安の回顧と展望」(平成二十九年版)において「革マル派が相当浸透しているとみられる全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)及び東日本旅客鉄道労働組合(以下「JR東労組」という。)は、六月にそれぞれ労組結成三十年の記念大会を開催し、労組結成から現在までの三十年を振り返り、「いつでもたたかえる組織」の堅持を掲げるなど、引き続き、革マル派創設時の副議長である松嵜明元JR東労組会長(故人)が提唱した労働運動理論の継承を傘下組合員に対して呼び掛けた。」と記述して注意喚起を行っている。
 実際に、革マル派の指導者であった松嵜明氏の労働運動理論を継承するべく、その著書集が編纂され、JR東労組にとどまらず、JR総連傘下の北海道旅客鉄道労働組合(以下「JR北海道労組」という。)においても、これらを利用した学習会などが開催されていることは、当該労組の機関紙などで自ら明らかにしている。
 また菅義偉官房長官は、平成二十九年二月二十六日の読売新聞北海道版のインタビュー記事において「北海道では過去に色んな事故が起きた。ああいう組合を持っているのはJR北海道だけでしょ」と述べているが、これは菅官房長官がJR北海道の安全運行と経営にJR北海道労組が悪影響を及ぼしている、との認識を示したものと受け止められている。
 さらに平成二十九年四月十八日の産経新聞朝刊には、関係者の証言を基に、JR北海道労組がJR北海道の経営幹部への影響力を行使したことについて懸念する声があるとする記事も掲載されている。
 既にJR北海道労組と革マル派との関係については、平成二十五年十一月二十二日、衆議院国土交通委員会において平沢勝栄衆議院議員に対し、JR北海道労組への革マル派浸透に関して明確な断定は避けたものの「鋭意解明に努めている」との政府答弁がなされている。
 このように革マル派が、JR総連系労組に今なお相当浸透していることを窺わせる様々な事象は、わが国の治安維持、そして二年半後の東京オリンピック・パラリンピックを安全に開催するといった観点からも憂慮すべき深刻な問題であると認識している。
 なお昨年来、維持困難路線を公表したJR北海道に対する北海道や国による公的支援の実施を求める動きがある。北海道のインフラを支える路線の維持が極めて重要であることは言うまでもないが、公的支援の前提として、JR北海道労組に革マル派が浸透しているという憂慮すべき実態を解明し、問題を解決することが必要不可欠であると考える。
 政府においては、JRというわが国を代表する公共交通機関の労働組合に、今なお過激派・革マル派が浸透している実態を看過することなく、治安維持のための取り組みをさらに強化すべきであると考える。
 こうした認識から、次の事項について質問する。

一 これまでの捜査過程で解明された革マル派のJR総連系労組への浸透の実態について、政府の把握するところを具体的に明らかにされたい。

二 革マル派がJR総連系労組に浸透を図ろうとしている目的は何か、政府の見解を明らかにされたい。

三 JR総連系労組が、松嵜明元JR東労組会長が提唱した労働運動理論の継承を傘下組合員に対して呼び掛けている目的は何か、政府の見解を明らかにされたい。

四 JR北海道労組への革マル派の浸透及びJR北海道の経営に対する影響力の行使の実態について、政府における解明状況を具体的に明らかにされたい。

五 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構を介して政府が全株式を保有するJR北海道の経営や人事に対して、JR北海道労組が影響力を強めているとの指摘に対する、政府の見解を明らかにされたい。

六 JR北海道では、平成二十三年九月には当時社長であった中島尚俊氏が、平成二十六年一月には元社長の坂本眞一氏が相次いで自殺している。JR北海道経営トップの度重なる自殺という異例の事案の背景に何があったのか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。