質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一八号

育児用粉ミルクに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年二月十三日

伊藤 孝恵   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   育児用粉ミルクに関する質問主意書

 育児用粉ミルクについては、組成を母乳に近づける努力がなされてきた。育児用粉ミルクの組成の一つである脂質成分の原材料として使われる大豆油は、必須脂肪酸であるリノール酸の供給源として、医療用にも使われてきた実績があるため、過剰摂取にならない限り安全性は高いとされている。一方で、同じ植物油でも、バターの代わりに使われているパーム油やカノーラ油は、各種研究発表を見る限り安全性の面で疑義があるため、以下質問する。

一 育児用粉ミルクの脂質成分の原材料については、二〇〇〇年前後からバター、大豆油、紅花油等に代えて、パーム油やカノーラ油が使われるようになったと認識しているが、油の使用状況について政府の把握するところを示されたい。

二 育児用粉ミルクの原材料について、国による許認可等の制度はどのようになっているのか明らかにされたい。

三 農水省の食品総合研究所の動物実験データによると、パーム油をマウスに与え続けると生存日数が短くなるという結果が報告されている。また他にも、パーム油を与えたラットでの発癌促進効果や糖尿病モデル動物に対する有害作用、ラットに対する脳卒中促進作用などが学会で報告されている。このような研究発表があるにもかかわらず、育児用粉ミルクの原材料にパーム油を使用することの安全性についての政府の見解如何。

四 カノーラ油については、アメリカ油化学会の専門誌(Huang MZ, Lipids 1997)の動物実験データによると、大豆油、魚油、エゴマ油などに比べて、ラットの生存日数が短くなるという結果が出ている。同結果の公表後、国内外からカノーラ油の有害作用に関する論文が多く発表されているが、このような研究発表があるにもかかわらず、育児用粉ミルクの原材料にカノーラ油を使用することの安全性についての政府の見解如何。

五 バターが育児用粉ミルクの原材料に使われなくなったのは、狂牛病の発生が契機であったのか、政府の見解如何。

六 狂牛病の原因について以前の質問主意書では調査中とされていたが、原因は肉骨粉なのか、プリオン(タンパク質)の感染症なのか、政府の見解如何。またウシの全頭検査を中止したこととの関連性はあるのか、政府の見解如何。

七 牛乳に含まれるステロイドホルモン(硫酸エストロンという女性ホルモン)や、バターに含まれる黄体ホルモン(プロゲステロン)の安全性を政府はどのように評価しているのか明らかにされたい。

  右質問する。