質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一四号

私立幼稚園への支援拡充に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年二月九日

小川 勝也   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   私立幼稚園への支援拡充に関する質問主意書

 政府は、一億総活躍社会の実現等に向け、仕事と家庭の両立を図るべく、待機児童対策を行っている。平成二十九年十二月に閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」においては、待機児童解消策として「子育て安心プラン」を前倒しし、二〇二〇年度末までに三十二万人分の受け皿整備を行うこと、保育士の確保や処遇改善に取り組むこととしている。
 このように国・都道府県・市区町村においては保育に係る予算が拡充されており、その結果、幼児教育に対する支援との格差が拡大しているのではないかと懸念される。建学の精神に基づき幼児教育を担ってきた私立幼稚園に対する支援を拡充すべきとの問題意識を踏まえ、以下のとおり質問する。

一 横浜などの都市部を中心に、駅周辺の保育所が不足気味である一方、郊外の保育所には余裕があるという事例もあると承知している。郊外を含め既存の保育所の入所率を百パーセントとすることは待機児童解消に有効であるが、利便性などを優先して高額な予算を付けて駅周辺の保育所が新設されている状況にある。郊外の保育所入所を促進すれば、施設新設や保育士確保に係る経費も少なくて済むと考えるが、政府の見解を伺う。

二 保育所の新増設が進む中で保育士の人材確保が課題となっているが、幼稚園教諭の人材不足もまた深刻な状況である。すでに、保育士資格と幼稚園教諭の免許状を併有する学生が、保育所と幼稚園で取り合いになっており、保育士の処遇改善が進むことで、私立幼稚園の人材確保は益々厳しくなっている。そのため、私立幼稚園では人材確保のために教諭の賃上げを行っているが、これにより経営が圧迫されている状況がある。政府はこうした状況を把握しているのか。

三 政府は、保育士の就業継続支援として、保育士の宿舎を借り上げるための費用の全部又は一部を支援する保育士宿舎借り上げ支援事業を実施している。一定の条件の下、最大で月八万二千円の家賃補助を行うというものであるが、同事業は幼稚園教諭の人材確保を更に困難なものにしている。私立幼稚園教諭に対しても、住宅支援策を実施するなどの処遇改善が必要であると考えるが、政府の見解を伺いたい。

四 安倍総理は、施政方針演説において保育士の処遇改善を力強く語っているが、幼稚園教諭の処遇改善については全く念頭にないのではないかとの危惧の念を抱かずにはいられない。待機児童対策の一翼を担っている私立幼稚園教諭についても、公平性の観点から、保育士に相当する処遇改善に向けた支援が必要であると考える。政府は、平成三十年度予算において、私立幼稚園教諭の処遇改善に向けてどのような措置を講じているのか、保育士と対比しつつ説明されたい。

五 新しい経済政策パッケージでは、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼児教育を無償化するとしているが、幼稚園の預かり保育の無償化への対応は判然としない。幼稚園の預かり保育が無償化の対象外となれば、無償化の対象となる保育所等に入所希望者が殺到し、待機児童が増えることにもなりかねず、待機児童対策に逆行すると考える。私立幼稚園の預かり保育を無償化の対象にすべきであると考えるが、政府の見解はいかがか。

六 新しい経済政策パッケージの二兆円規模の財源については、消費税増収分から約一兆七千億円を、残りの三千億円については「事業主拠出金」を充てるとされている。事業主拠出金による増額分は企業主導型保育事業と零歳から二歳児相当分の保育の運営費に活用することとされている。事業主拠出金には私立幼稚園や認可外保育所等からの拠出金も含まれるにもかかわらず、私立幼稚園や認可外保育所等が増額分の使途の対象とならないことは釈然としない。事業主拠出金の使途の根拠を示されたい。

  右質問する。