質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一一号

安倍首相の憲法改正の必要性を述べた答弁に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年二月七日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   安倍首相の憲法改正の必要性を述べた答弁に関する質問主意書

 安倍首相は平成三十年一月三十一日の参議院予算委員会において、自由民主党議員から憲法改正の必要性についての内閣総理大臣としての認識を問われ、「憲法は、この国の形、理想の姿を示すものであり、私たちは、時代の節目に当たって、まさにどのような国づくりを進めていくのかという議論を深めるべきときに来ている」(以下「答弁前段」という。)と述べ、次いで憲法改正について「国会はまさに議論をし、発議するまででありまして、決めるのは国民の皆様であります。ですから、国民の皆様がまさに権利を実際にそれは実行するためには、国会で真摯な議論を行っていく、議論を深めていくことが必要であり、私たちにはその義務があるんだろう」(以下「答弁後段」という。)と答弁した。これらの答弁に疑義があるため、安倍首相の憲法改正の必要性に対する認識とともに以下質問する。

一 答弁前段及び答弁後段は、そのいずれも、安倍晋三氏の内閣総理大臣としての認識を示したものとの理解でよいか。政府の見解がこの理解と異なる場合は、安倍晋三氏の、自由民主党総裁としての認識であるのか、一国会議員としての認識であるのか、あるいは一日本国民としての認識であるのか、いずれであるのかを明確に示されたい。

二 答弁前段の「憲法は、この国の形、理想の姿を示すもの」とは、安倍晋三氏個人の認識か、安倍内閣固有の認識か、あるいは憲法学上の学説として確立して存在するものか、いずれであるのかを明確に示されたい。加えて、これが憲法学上の学説として確立して存在するものであるとする場合、その根拠を論文等の文献を明示して説明されたい。

三 前記一に関して、答弁前段が内閣総理大臣としての認識を示したものであるとする場合、当該答弁は行政府の長である内閣総理大臣の認識であることから、当該答弁中の「私たち」とは内閣総理大臣である安倍晋三氏及び行政府を構成するその他の者を指していると解されるところであるが、この「私たち」とは、安倍晋三氏の他に行政府を構成する者のうち誰を指しているのか、その氏名を具体的かつ網羅的に示されたい。

四 前記三に関して、答弁前段の「私たち」が、内閣総理大臣である安倍晋三氏及び行政府を構成するその他の者を指しているものではない、とする場合、この「私たち」とは安倍晋三氏の他に誰を指しているのか、その氏名を具体的かつ網羅的に示されたい。

五 答弁前段の「時代の節目」とは、いつのことを指しているのか、その意味とともに明確に示されたい。

六 前記五に関して、答弁前段の「どのような国づくりを進めていくのかという議論を深めるべきとき」と「時代の節目」とは、如何なる関連があるのか、加えて「時代の節目に当たって」「議論を深めるべき」とする理由は何か、明確に示されたい。

七 答弁前段の「どのような国づくりを進めていくのかという議論を深めるべき」とは、行政府の長である内閣総理大臣安倍晋三氏が、立法府である国会に対して「議論を深めるべき」と述べているとの理解でよいか、明確に示されたい。政府の見解がこの理解と異なる場合は、誰が誰に対して「議論を深めるべき」と述べていると理解すればよいのか、明確に示されたい。

八 前記一に関して、答弁後段が内閣総理大臣としての認識を示したものであるとする場合、当該答弁は行政府の長である内閣総理大臣の認識であることから、当該答弁中の「私たち」とは内閣総理大臣である安倍晋三氏及び行政府を構成するその他の者を指していると解されるところであるが、この「私たち」とは、安倍晋三氏の他に行政府を構成する者のうち誰を指しているのか、その氏名を具体的かつ網羅的に示されたい。

九 前記八に関して、答弁後段の「私たち」が、内閣総理大臣である安倍晋三氏及び行政府を構成するその他の者を指しているものではない、とする場合、この「私たち」とは安倍晋三氏の他に誰を指しているのか、その氏名を具体的かつ網羅的に示されたい。

十 答弁後段に「私たちにはその義務がある」とあるが、この義務とは、如何なる法規によって、誰に対して、如何なる作為を命ずるものであるのか、その法的根拠を該当する条文とともに明確に示されたい。

  右質問する。