質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第八号

在沖縄米軍の航空機事故等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年一月三十一日

糸数 慶子   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   在沖縄米軍の航空機事故等に関する質問主意書

 沖縄県に駐留する米軍の航空機事故等が絶えない。二〇一六年十二月十三日、名護市安部の海岸に普天間基地所属のMV二二オスプレイが墜落した重大事故以降、二〇一七年一月から二〇一八年一月二十四日までに発生した在沖縄米軍の航空機事故等は、分かっているだけでも十七件を数え、平均すると月に一件以上発生している。これらの事故等に対する米軍高官らの発言は、事故等の頻発や重大さへの謝罪というより、被害を最小限に抑えたとしてパイロットの技量を評価するものである。報道等では、ハリス米太平洋軍司令官は、小野寺五典防衛相との会談(日本時間本年一月十日、米国ハワイ州)において、相次ぐ在沖縄米軍の航空機の不時着事故について「一番近い安全な場所に降ろす措置に満足している」と述べた。同様に、在沖縄米軍のトップであるニコルソン四軍調整官は、前記オスプレイ墜落事故について、沖縄県民に被害を及ぼさなかったとして「感謝されるべきだ」と述べたとされる。
 米軍高官らの在沖縄米軍の航空機事故等に対する認識は、沖縄県民への配慮に著しく欠けたものであり、日本政府として厳重に抗議し、沖縄県内の民間地上空での在沖縄米軍の航空機の飛行差し止めを要求すべきである。頻発する在沖縄米軍の航空機事故等により、生命と日々の暮らしを脅かされる沖縄県民にとって、在沖縄米軍の航空機事故等は絶対に許されず、起きてはならないものである。日本政府が、事故機と同型機の飛行再開を追認している現状は、米軍による日本国民の人権侵害の容認とも受けとれる。沖縄県民の生命と暮らしを守る観点から、以下、質問する。

一 在沖縄米軍の航空機事故等の発生件数は極めて異常である。二〇一七年一月以降に生じた全ての在沖縄米軍の航空機事故等(航空機の緊急着陸や不時着、航空機からの部品等の落下、発煙を含む。)について、その発生日及び概要を日本政府が把握している範囲で示されたい。その上で、在沖縄米軍の航空機事故等の頻発に対する日本政府の見解を示されたい。

二 在沖縄米軍の航空機事故等が頻発していることに対し、当事者である米国政府はどのような認識をもっているか。日本政府の承知している範囲で明らかにされたい。

三 米軍が発表する在沖縄米軍の航空機事故等の原因は、「エンジントラブル」「油漏れ」「計器の故障」など、比較的軽微なものが多いが、事故等の発生件数の異常さから見れば、航空機の重大な構造的欠陥等の隠ぺいが疑われる。日本政府は前記一の在沖縄米軍の航空機事故等について、自ら原因究明の調査を行ったことがあるか。調査を行った事故等があれば、その調査結果をそれぞれ明らかにされたい。

四 前記一の在沖縄米軍の航空機事故等のなかで、日本国の法律によって事故等として立件できるものを示されたい。また、各事故等別に立件の可否を判断した根拠又は基準を示されたい。

五 二〇一七年十二月七日、宜野湾市野嵩にある保育園の屋根で普天間基地所属のCH五三Eヘリの部品である重さ二百十三グラムのプラスチック製円筒が見つかった事故、及び、同年十二月十三日、宜野湾市新城の普天間第二小学校の運動場に普天間基地所属のCH五三Eヘリから重さ約八キロの窓が落下した事故について、在沖縄米軍による調査結果及び日本の警察や政府による調査の経緯とその結果を明らかにされたい。

六 報道等によると、今年一月十八日午後一時二十五分ごろ、普天間基地所属のUH一Yヘリ一機とAH一Zヘリ二機の計三機が普天間飛行場を離陸後、普天間第二小学校の運動場の上空を通過したとされる。前記五のCH五三Eヘリによる窓の落下事故を受け、米軍と日本政府の間で当該小学校上空の航空機の飛行を「最大限可能な限り避ける」ことを合意している。本件について日本政府の見解を示すとともに、米国政府の対応を日本政府の承知している範囲で明らかにされたい。

七 前記一の在沖縄米軍の航空機事故等が発生した際、日本政府はそれぞれいかなる対応を米国政府・米軍に求めてきたか。また、それに対して米側はどう反応したか。各事故等別に示されたい。

八 在沖縄米軍の航空機の整備・点検は在沖縄米軍が独自に行っているのか。度重なる事故等の発生を踏まえ、整備・点検を実施する主体を変更する必要があると考えられるが、日本政府の見解を示されたい。

  右質問する。