質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第四号

働き方改革関連束ね法案に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年一月二十二日

吉川 沙織   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   働き方改革関連束ね法案に関する質問主意書

 厚生労働大臣が労働政策審議会に諮問した法律案要綱においても明らかなように、政府が提出を予定している「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」(以下「働き方改革関連束ね法案」という。)は、第百八十九回国会に提出された労働基準法等の一部を改正する法律案(第百八十九回国会閣法第六九号。以下「労働基準法等一部改正案」という。)及び時間外労働の上限規制に関する法律案の一括化を含む、趣旨・内容の異なる八本の法律の改正案を束ねて改正しようとするものである。束ね法案については、これまで第百九十回国会質問第三三号、第百九十回国会質問第四九号、第百九十回国会質問第七九号等において問題点を指摘してきたが、働き方改革関連束ね法案における一括化、ならびに法案の束ね方にも同様の問題があり、看過できない。このため、第百九十四回国会において「働き方改革関連束ね法案に関する質問主意書」(第百九十四回国会質問第一九号)を提出し、政府の見解を質したが、これに対する答弁(内閣参質一九四第一九号)は、ほぼ内容のない不誠実なものであったと言わざるを得ない。
 そこで、以下改めて質問する。

一 労働基準法等一部改正案は衆議院解散のため第百九十四回国会で廃案となったが、廃案となるまで審議入りされることもなく、継続とされてきた。この理由をどのように分析し、認識しているか。

二 内閣が、提出してから二年以上審議入りできないまま継続とされてきた法律案を撤回した上で、当該法律案には規定されていなかった、当該法律案の趣旨・目的とは異なる改正内容を加えて、新たな法律案として国会に提出した例は過去にあるか。例があれば具体的に示されたい。

三 内閣が、提出してから二年以上審議入りできないまま審議未了となった法律案に、当該法律案には規定されていなかった、当該法律案の趣旨・目的とは異なる改正内容を加えて、新たな法律案として国会に提出した例は過去にあるか。例があれば具体的に示されたい。

四 労働基準法等一部改正案は、高度プロフェッショナル制度の創設や裁量労働制の拡大を含んでおり、長時間労働を助長する懸念があった。一方、働き方改革実行計画において示された時間外労働の上限規制は、長時間労働の是正を目的とするものであり、労働基準法等一部改正案とは政策の方向性が全く異なる。
 法案の趣旨・目的が一つであると認められるときは、一つの改正法案として提案することができるとしてきたこれまでの政府答弁に鑑みれば、趣旨・目的が相反する内容の改正は、別個の法案として国会に提出すべきではないか。
 これらを別個の法案とはせず、労働政策審議会に諮問した働き方改革関連束ね法案の法律案要綱(以下「働き方改革関連束ね法案要綱」という。)において、同一の法案として規定した理由を示されたい。

五 高度プロフェッショナル制度の創設や裁量労働制の拡大と、時間外労働の上限規制の問題は、労働政策審議会における労働者代表委員の意見にも見られるように賛否が分かれる内容であり、これらを一括して法案化することは、国会議員の表決権を侵害するものではないか。
 これらを別個の法案とはせず、働き方改革関連束ね法案要綱において、同一の法案として規定した理由を示されたい。

六 労働時間に関する制度の見直しと同一賃金同一労働の実現に向けた非正規雇用労働者の不合理な待遇差の解消は、依拠する法律も論点も全く異なるものであり、本来別個の法案として国会に提出すべきではないか。
 これらを別個の法案とはせず、働き方改革関連束ね法案要綱において、同一の法案として規定した理由を示されたい。

七 働き方改革関連束ね法案要綱に、じん肺法の一部改正が入った経緯及び理由を具体的に示されたい。

  右質問する。