質問主意書

第195回国会(特別会)

答弁書


答弁書第二九号

内閣参質一九五第二九号
  平成二十九年十二月十二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院副議長 郡司 彰 殿

参議院議員川田龍平君提出障害者虐待防止法の見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出障害者虐待防止法の見直しに関する質問に対する答弁書

一について

 厚生労働省は、平成二十七年度以降の各年度において、障害者虐待の対応状況の分析等を行うことを目的とする調査研究事業(以下「調査研究事業」という。)を委託により実施しているところであるが、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成二十三年法律第七十九号。以下「法」という。)附則第二条の規定に基づく検討について、同省としては、まずは、調査研究事業の下で設置及び運営される障害者虐待に関する専門的知見を有する有識者等により構成される検討会(以下「検討会」という。)に当該検討のための調査研究を行わせることが適当と考えたところである。その上で、平成二十九年度の調査研究事業の委託先については、総合評価落札方式による一般競争入札を行った結果、一般財団法人日本総合研究所(以下「研究所」という。)を当該委託先として決定したところである。

二について

 検討会においては、障害者虐待に係る個人情報を取り扱っており、公開することにより特定の者に不利益をもたらすおそれがあることから、その会議並びに議事録及び議事要旨を非公開とすることとしていると承知している。

三について

 お尋ねの「ヒアリングを受けたいとの要望を申し出た団体数」については、零団体であったと承知している。また、お尋ねの「実際に同委員会がヒアリングを実施した団体数」については、六団体であったと承知しており、お尋ねの「ヒアリングの対象団体を決めた際の選定基準」については、限られた調査期間内においてできるだけ幅広い障害種別の団体に対してヒアリングを実施するという観点から当該対象団体を選定するというものであったと承知している。
 検討会によるヒアリング(以下「本件ヒアリング」という。)の対象団体の選定に当たっては、研究所からの求めに応じ、厚生労働省として必要な助言を行ったところである。

四及び五について

 検討会は、限られた調査期間内においてできるだけ幅広い障害種別の団体に対してヒアリングを実施するという観点から当該対象団体を選定したと承知している。また、検討会を小規模な会議にすることで率直な意見交換を行いやすくする等の観点から本件ヒアリングの実施方法を決定したと承知しており、「広範な当事者から意見を聞く機会として適当ではなかったのではないか」との御指摘は当たらないものと考えている。

六、七、九及び十について

 お尋ねの「精神科病院については、障害者虐待防止法の通報義務ではなく、精神保健福祉法の処遇改善請求ですべて対応できると政府が考える根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法附則第二条において、精神科病院を含む医療機関等における障害者に対する虐待の防止等のための体制の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされていることを踏まえ、現在、必要な検討を行っているところである。

八について

 障害者に対する虐待の実態を明らかにするためには、御指摘のような機関等における障害者虐待についても、可能な限り当該実態を把握することが重要であると考えており、まずは、調査研究事業を通じて当該実態の把握に努めているところである。

十一について

 仮定を前提としたお尋ねについて、政府としてお答えすることは差し控えたい。