質問主意書

第195回国会(特別会)

答弁書


答弁書第二一号

内閣参質一九五第二一号
  平成二十九年十二月五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員又市征治君提出復興資金流用問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員又市征治君提出復興資金流用問題に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねについては、先の答弁書(平成二十九年三月二十一日内閣参質一九三第五一号)十一についてでお答えしたとおりである。

一の2の(1)及び(2)について

 「循環型社会形成推進交付金復旧・復興枠の交付方針について」(平成二十四年三月十五日付け環廃対発第一二〇三一五〇〇一号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長通知。以下「交付方針」という。)においては、災害廃棄物(東日本大震災の被災市町村におけるものをいう。以下同じ。)の広域処理(広域的な処理(分別、保管、収集、運搬、再生、処分等をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)を促進するため、循環型社会形成推進交付金(復旧・復興枠に限る。以下同じ。)で交付を行う対象として、特定被災地方公共団体(東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成二十三年法律第四十号)第二条第二項に規定する特定被災地方公共団体をいう。)である市町村等が実施する廃棄物処理施設整備事業(浄化槽事業を除く。以下「特定被災地方公共団体実施事業」という。)のほか、特定廃棄物処理施設整備事業(市町村等が実施する廃棄物処理施設整備事業(特定被災地方公共団体実施事業を除く。)のうち、諸条件等が整えば災害廃棄物の受入れが可能と考えられる処理施設の整備事業及び竣工時期等の問題で、現在整備中の処理施設では災害廃棄物を直接受け入れることは難しいものの、他の既存施設で受け入れたことにより、その既存施設で処理する予定であった廃棄物を処理することとなる可能性がある当該整備中の処理施設の整備事業(災害廃棄物の広域処理とは関係のない事業を除く。)をいう。以下同じ。)を示しているところ、特定廃棄物処理施設整備事業を実施した事業主体のうち、災害廃棄物の広域処理を受け入れた事業主体ごとに、①循環型社会形成推進交付金における交付対象事業名、②①の交付対象事業ごとの交付額、③循環型社会形成推進交付金及び震災復興特別交付税の交付額の合計額並びに④広域処理がされた災害廃棄物の量をお示しすると、それぞれ次のとおりである。ただし、循環型社会形成推進交付金の交付額については、平成二十三年度から平成二十八年度までに事業主体へ交付された額であるが、震災復興特別交付税の交付額については、循環型社会形成推進交付金に係る地方負担額として総務大臣が調査した時点における額に基づき同年度末までに決定し、市町村へ交付された額(ただし、一部事務組合にあっては、当該一部事務組合の構成市町村へ交付された額の合計額)である。なお、震災復興特別交付税については、算定した額が実際に要した経費を上回り、又は下回る等の場合、後年度分の震災復興特別交付税の額を減額し、又は加算することとしている。
 秋田県秋田市 ①エネルギー回収推進施設 ②一億六千六百七十三万四千円 ③五億二十万二千円 ④約五千九百三十一トン
 山形県酒田地区広域行政組合 ①マテリアルリサイクル推進施設 ②四千八百九十七万七千円 ③一億四千六百九十三万三千円 ④約二百七十六トン
 富山県高岡地区広域圏事務組合 ①高効率ごみ発電施設 ②三十一億四千九十三万八千円 ③六十二億六千六百七十四万八千円 ④約五百十九トン
 静岡県静岡市 ①マテリアルリサイクル推進施設 ②三千七百五十六万五千円 ③一億千二百六十九万六千円 ④約千百二トン
 福岡県北九州市 ①廃棄物処理施設の基幹的設備改良事業 ②九億九千八百十三万二千円 ③十八億九百二十三万千円 ④約二万二千六百九十六トン

一の2の(3)について

 特定廃棄物処理施設整備事業を実施した事業主体のうち、結果として災害廃棄物の受入れが行われなかった事業主体は、北海道中・北空知廃棄物処理広域連合、秋田県鹿角広域行政組合、秋田県潟上市、群馬県佐波郡玉村町、群馬県甘楽西部環境衛生施設組合、埼玉県川口市、東京都ふじみ衛生組合、東京都西秋川衛生組合、京都府綾部市及び大阪府堺市である。

一の2の(4)について

 東日本大震災の被災市町村における災害廃棄物及び津波堆積物(以下「災害廃棄物等」という。)の処理に要した費用に対し支出された災害等廃棄物処理事業費補助金、災害等廃棄物処理促進費補助金及び災害等廃棄物処理事業費に対し、循環型社会形成推進交付金は、災害廃棄物の受入れの可能性がある施設の整備に必要な経費について交付を行っているものであり、また、循環型社会形成推進交付金に係る地方負担額として総務大臣が調査した時点における額に基づき平成二十八年度末までに決定し、市町村へ交付された震災復興特別交付税は、災害廃棄物の受入れの可能性がある施設の整備のため特別の財政需要があることを考慮した上でその額の算定を行ったものであり、これらの予算はその対象を異にするものであることから、御指摘の「二重に受け取る形」とはなっていない。

一の2の(5)及び(6)について

 一の2の(3)についてでお答えした市町、広域連合及び一部事務組合については、受入条件の検討や被災地とのマッチングを実施したものの、結果として災害廃棄物の受入れが行われなかったものであり、「復興資金の無駄遣い」との御指摘は当たらない。

一の3及び三の3について

 お尋ねの「交付方針では「交付方針を立てることによる広域処理の促進」という趣旨のことが言われている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、循環型社会形成推進交付金は、災害廃棄物の広域処理を促進する等のため、災害廃棄物を受け入れる可能性がある施設の整備を目的としていることから、各事業主体における交付額を各事業主体が処理した災害廃棄物の処理量で単純に除して得た数値を一トン当たりの費用とみなすことは適当ではなく、「このようにコスト意識を欠く交付方針に基づく交付金」及び「交付方針自体に問題がある」との御指摘は当たらない。
 また、交付方針を示した平成二十四年三月の時点では一都三県において実施されていた広域処理の受入れが、平成二十六年三月までに一都一府十六県にまで拡大したことから、交付方針は被災地の復旧・復興の前提である災害廃棄物の処理や広域処理の拡大に関し一定程度の寄与があったものと考えており、交付方針の目的は達成したと考えている。

二の1のアについて

 宮城県石巻市、東松島市及び牡鹿郡女川町(以下「石巻ブロック」という。)で発生した災害廃棄物の量については、同県が平成二十三年十月に約八百四十六万トンと推計しており、そのうち約六百八十五万トンについて、同県が、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十四第一項の規定に基づく事務委託を受けて処理を実施すると発表したと承知している。

二の1のイについて

 宮城県は、平成二十三年九月十六日に鹿島建設株式会社を筆頭とする鹿島・清水・西松・佐藤・飛鳥・竹中土木・若築・橋本・遠藤特定共同企業体(以下「鹿島等特定共同企業体」という。)との間で、競争入札により、石巻ブロックで発生した災害廃棄物等の処理に関する委託契約を締結し、その契約金額は同日時点で総額約千九百二十四億円であったと承知している。
 また、御指摘の「したがって、宮城県石巻ブロックからは、広域処理するがれきは一トンも出なかった」の意味するところが必ずしも明らかではないが、同県は、同年十月時点で、石巻ブロックの災害廃棄物の広域処理の必要量を約二百九十四万トンと推計し、環境省に伝達したと承知している。

二の1のウについて

 環境省は、平成二十三年十一月二日に石巻ブロックの災害廃棄物の広域処理の希望量を約二百九十四万トンと公表し、平成二十四年五月二十一日に岩手県及び宮城県の災害廃棄物の広域処理の必要量をそれぞれ約百二十万トン及び約百二十七万トンと公表した。
 宮城県は、災害廃棄物の処理の進捗に応じて広域処理の必要量を算出しており、「何の根拠もなく架空計上」との御指摘は当たらない。また、同県は、鹿島等特定共同企業体との契約金額について、平成二十四年十月に福岡県北九州市において広域処理を実施した災害廃棄物の量に相当する金額を、鹿島等特定共同企業体との契約変更において減額しているため、「宮城県ががれきの処理を委託した鹿島JVへの支払いと広域処理により宮城県発の広域処理するがれきを受け入れる地方公共団体への支払いとが重複し、二重に支払うことになっていた」との御指摘は当たらない。

二の2について

 平成二十三年九月に宮城県と鹿島等特定共同企業体が災害廃棄物等の処理に関する委託契約を締結してから平成二十四年十月に契約内容が変更されるまでの間に、石巻ブロックからの災害廃棄物の広域処理を行った同県外の地方公共団体は福岡県北九州市のみであり、当該広域処理に係る会計処理は二の1のウについてでお答えしたとおり、適切になされている。

二の3について

 御指摘の「事実と違っている」及び「会計検査院に対してこの事実を報告しているか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、環境省は、岩手県及び宮城県の災害廃棄物の広域処理の必要量について、それぞれ、平成二十四年八月七日に「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理工程表」において約四十二万トン及び約百二十七万トン、平成二十五年一月二十五日に「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理工程表(進捗状況・加速化の取組)」において約三十万トン及び約三十九万トン並びに同年五月七日に「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理工程表」において約三十一万トン及び約三十六万トンと公表している。

二の4について

 岩手県及び宮城県の災害廃棄物の広域処理の必要量については、各県によって事業の進捗に応じて見直しが行われており、「このような間違い」との御指摘は当たらない。
 また、災害等廃棄物処理事業費補助金及び災害等廃棄物処理促進費補助金の毎年度の予算額については、事業の進捗に応じて毎年度必要と見込まれたものを計上しており、「過大な予算編成」との御指摘は当たらない。

三の1について

 御指摘の「会計検査院に報告」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

三の2及び5について

 お尋ねについては、参議院議員山本太郎君提出環境省による復興資金流用に関する質問に対する答弁書(平成二十八年十二月六日内閣参質一九二第四三号)九の1から3までについてでお答えしたとおりである。

三の4について

 富山県高岡市は、約五百十九トンの災害廃棄物を受け入れ、平成二十五年八月に処理を終了していると承知している。