質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第五五号

HIV感染症を減少させるための医療政策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十二月八日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   HIV感染症を減少させるための医療政策に関する質問主意書

 エイズの原因となるHIV感染症が世界では減少傾向であるのに対し、日本の新規感染者数は近年も年間千五百人前後で横ばいとなっている。HIV感染症に起因する健康被害を減少させ、終結させるためには、国家による医療政策が極めて重要であると考え、以下質問する。

一 二〇一四年にUNAIDS(国連合同エイズ計画)は、二〇三〇年のエイズ流行の終結に向けた新たな目標(二〇二〇年までに「90-90-90」を達成する)を掲げた。「90-90-90」とは、HIV予防のいわゆる「カスケード」戦略で、HIV感染者の九十%が自らのHIV感染を知り、そのうちの九十%がHIV治療を受け、さらにそのうちの九十%がHIV治療によって体内のウイルス量を低く抑えられるようになれば、新たなHIV感染者数は減少するというものである。
 この「90-90-90」の目標は、具体的かつエイズ流行の終結への有益な道標となりうると考えるが、この「90-90-90」の有効性についての、政府の所見を明らかにされたい。

二 現在、この「90-90-90」の達成に向け、日本はどのような現状であるのか。HIV感染者のうちどれくらいの割合の人が自らのHIV感染を知り、そのうちどれくらいの割合の人がHIVの治療を受け、さらにそのうちどれくらいの割合の人が体内のウイルス量を低く抑える状態を実現しているのか、それぞれ比率により明確に示されたい。

三 また、現在のペースで新規感染者が生じるとすると、治療薬の進歩により累積患者が増加することが想定される。その場合、より積極的にHIV抗体検査受診を推奨することにより検査受診率を上げ、早期発見・早期治療につなげることが将来の医療費削減につながると考えるが、政府の現状認識と問題意識を明らかにされたい。

  右質問する。