第195回国会(特別会)
質問第五一号 厚木基地とロードマップの実施に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十九年十二月八日 牧山 ひろえ
参議院議長 伊達 忠一 殿 厚木基地とロードマップの実施に関する質問主意書 厚木基地は、日本でもっとも人口密度の高い地域の一つである神奈川県東部の中心に位置するがゆえに、広域にわたる多くの人々に対し、航空機騒音や事故などの安全性に関する不安などを生じさせ、その日常生活に様々な影響を及ぼしている。この厚木基地の周辺で生活する住民の感情、すなわち住民の不安や不便に対し、国はより耳を傾けるべきであるし、在日米軍側にもより配慮を求めるべきと考える。 この認識を前提に、以下質問を行う。 一 二〇〇六年五月の日米安全保障協議委員会(2+2)で合意された「再編実施のための日米のロードマップ」(以下「ロードマップ」という。)においては、空母艦載機部隊(第五空母航空団)を厚木飛行場から岩国飛行場へ移駐することとされ(以下「岩国移駐」という。)、実際に今年八月から岩国移駐が開始されている。岩国移駐により、ジェット戦闘機等の運用が大幅に減少し、厚木飛行場周辺の騒音状況は相当程度軽減するとされている。 だが、米海軍は本年八月十八日の報道発表において、岩国移駐後も、訓練や給油・整備のため厚木飛行場を「折に触れて利用する」と明言しており、岩国移駐後も厚木飛行場が訓練等で使用されるのではないかとの懸念が根強いものとなっている。 二〇一六年五月十九日の参議院外交防衛委員会において、当時の中谷防衛大臣は、「厚木基地から岩国飛行場へ移駐されるこの空母の艦載機の訓練につきましては、原則として厚木飛行場及びその周辺訓練空域で行われることはないと承知しております」と答弁している。 「原則として」ということは、厚木飛行場の使用は排除されないとの意味か。また、現在、FCLP(陸上空母離着陸訓練)の多くは硫黄島で実施されているが、硫黄島が使用できない場合には、岩国移駐後も厚木飛行場でFCLPが実施される可能性があるのか。政府の見解を明確に示されたい。 二 岩国移駐の計画について、二〇一七年一月、防衛省は厚木飛行場の周辺自治体に対し、「二〇一七年七月以降にE2Dが移駐」、「十一月頃、FA-18(スーパーホーネット)の二部隊が移駐」、「二〇一八年一月頃、EA-18Gの部隊及びC-2の部隊が移駐」、「五月頃、FA-18(スーパーホーネット)の二部隊が移駐」という具体的な移駐計画を示したものと承知している。 ただ、実際には、E2D、EA-18G、C-2の移駐はいずれも当該計画で想定していた時期とずれて行われた。 岩国移駐の前倒しに反対するわけではないが、なぜ、実際の岩国移駐が当該計画で想定された時期とずれたのか、理由を明らかにされたい。 また、移駐する時期が変更されたならば、当事者である米軍基地の周辺自治体には、なるべく早く通告すべきところ、実際にはいずれのケースでも僅か数日前という直前になって通告されている。なぜ、もう少し早く通告できなかったのか、理由を明らかにされたい。 三 ロードマップにおいては、硫黄島のFCLP施設に代わる恒常的なFCLP施設をできるだけ早い時期に選定することとされた。また、二〇一一年六月の2+2共同文書において、鹿児島県西之表市の「馬毛島」がFCLPの恒久的な施設の候補として明記されている。 これらに関する防衛省の取組の現状及び今後の見通しを示されたい。 四 第五次厚木基地騒音訴訟について、本年十二月一日に千九百五十二人が新たに提訴した。これにより、同訴訟の原告は、過去の厚木基地騒音訴訟の中で最多の八千十五人、損害賠償請求額は百十七億二千万円になっている。岩国移駐は進んでも、厚木基地からの騒音が軽減されるのかは不透明だという同基地周辺で生活する住民の不安が原告者数に表れていると考えるが、過去最大の原告者数となったことに対する防衛省の所見を示されたい。 右質問する。 |