質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第四七号

佐藤外務副大臣の自衛隊員の「服務の宣誓」を用いた就任挨拶が憲法違反等であることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十二月八日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   佐藤外務副大臣の自衛隊員の「服務の宣誓」を用いた就任挨拶が憲法違反等であることに関する質問主意書

 佐藤正久外務副大臣は、本年十二月五日の参議院外交防衛委員会での就任の挨拶において「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応える決意であります。」と述べ、十二月七日の同委員会においてこの挨拶の内容について「外務副大臣として国民の負託に応え、その職務を全うするという私の基本的姿勢、これを述べたもの」と答弁している。
 これについて、以下質問する。

一 佐藤外務副大臣の挨拶の文言は、自衛隊法第五十二条の自衛隊員の「服務の本旨」及び同法第五十三条の自衛隊員の「服務の宣誓」から引用されたものと理解してよいか。

二 佐藤外務副大臣は「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応える決意であります。」との文言のうち、「事に臨んで」、「危険を顧みず」、「身をもって」、「責務の完遂に務め」、「もって国民の負託に応える」との文言のそれぞれについて、外務省設置法上の外務省の所掌事務との関係で具体的にどのような事務を念頭において発言したのか、その各々について具体的に説明されたい。

三 佐藤外務副大臣の挨拶の文言「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応える」は、自衛隊法第五十二条により武人である自衛隊員の「服務の本旨」とされ、かつ、同法第五十三条によって全ての自衛隊員となる者に対して「服務の宣誓」として宣誓が義務付けられているものである。一方、憲法第六十六条第二項の文民条項の政府解釈では、これは国政が武断政治に陥ることを防ぐ趣旨であり、武力組織に属する自衛隊員は武人であって国務大臣になることは違憲とされている。そうだとすると、元自衛隊の指揮官である佐藤外務副大臣は、武力組織の「服務の本旨」をもって外交を司るとの決意を述べ、かつ、それを外務副大臣の職務の基本的姿勢とするとしたのであるから、明確にこの文民条項の趣旨に違反するのではないか。

四 憲法第六十六条第二項の文民条項の趣旨は国政が武断政治に陥ることを防ぐためとされているところ、自衛隊指揮官の経歴を有する佐藤外務副大臣が武人である自衛隊員の「服務の本旨」の当該内容をもって外務副大臣の職務の基本的姿勢とすること自体が、まさに国政を武断政治に陥らせていることになるのではないか。

五 前記「三」において、武人である自衛隊員の「服務の本旨」の当該内容を武力紛争を阻止することを任務とする外交政策を司る外務副大臣の職務の基本的姿勢とすることは外務省設置法に違反するのではないか。

六 佐藤外務副大臣は即刻当該挨拶を撤回した上で、即刻自ら辞職するか、あるいは、内閣として佐藤外務副大臣の当該挨拶を撤回させた上で佐藤外務副大臣を即刻罷免すべきではないか。

  右質問する。