質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第三五号

無料低額診療事業における無料または低額な料金での調剤の実現に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十二月七日

田村 智子   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   無料低額診療事業における無料または低額な料金での調剤の実現に関する質問主意書

 無料低額診療事業は生活困窮者の医療を受ける権利を保障するために重要な役割を果たしている。ところが、同事業を行う医療機関で無料または低額な料金で診療を受け、処方箋の交付を受けても、現在の制度では、調剤を実施する薬局(以下「調剤薬局」という。)はその処方箋にもとづいて無料または低額な料金での調剤を行うことができない。同事業における調剤の在り方について、政府は国会において、検討する旨の答弁を何度か行っているが、その後も状況は変わっていない。
 同事業による診療の効果を十分に発揮させるためには、同事業を行う医療機関で診療を受けた者が、調剤薬局において無料または低額な料金で調剤を受けられるようにする必要がある。
 その観点から以下質問する。

一 二〇一六年一月二十日の参議院本会議において塩崎恭久厚生労働大臣は「社会福祉法人等においては、社会福祉事業に位置付けられている無料低額診療事業により生活困窮者に対する医療費の窓口負担を減免することが可能となっており、社会福祉法人等に対し積極的に減免を行うよう促してまいります」と答弁をしている。無料低額診療事業は生活困窮者の医療を受ける権利を保障するため重要な役割を果たしているが、同事業についての政府の見解を明らかにされたい。

二 厚生労働省が二〇一三年六月に実施した調査によれば、二〇一二年現在、無料低額診療事業を行った五百五十八か所の医療機関のうち、二百八か所の医療機関が院内調剤施設を持っていなかった。この二百八か所の医療機関では、投薬が必要な場合、処方箋を発行し調剤薬局で受け取るようにせざるを得ない。調剤薬局では患者に自己負担を求めざるを得ないが、特に近年、薬剤費の高騰などが反映され外来診療における医療費の負担も増えており、自己負担分を負担できないために、結果的に患者が調剤を受けられない事態が発生している。政府はそのような事態について把握しているか。

三 前記二の事態について、前記答弁に照らして、政府の見解を示されたい。

四 前記二の事態について、政府は私が第百七十六回国会に提出した「無料低額診療事業等に関する質問主意書」(第百七十六回国会質問第二七号)に対する答弁(内閣参質一七六第二七号)や、二〇一三年五月九日の参議院厚生労働委員会における私の質疑に対する答弁で、無料低額診療事業を行う医療機関における調剤の在り方について検討する旨を繰り返し述べているが、現在の検討状況を明らかにされたい。

五 無料低額診療事業で無料または低額で診療を受けながら、無料または低額で調剤を受けられない問題を早急に解決すべきではないか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。