質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第一五号

沖縄における核兵器貯蔵疑惑に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十一月十五日

糸数 慶子   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   沖縄における核兵器貯蔵疑惑に関する質問主意書

 本年九月二十六日、沖縄県議会(新里米吉議長)に対し「核貯蔵疑惑に関する陳情」(以下「本陳情」という。)が提出された。本陳情は、学び・行動するうるま市民ネットワーク、カデナピースアクション、核兵器から命を守る読谷共闘会議、うるま市具志川9条の会、命どぅ宝!琉球の自己決定権の会及び信州沖縄塾で構成される「核兵器から命を守る沖縄県民共闘会議」によって提出されたものであり、同月十日に放送されたNHKスペシャル「沖縄と核」で復帰前の沖縄には千三百発の核兵器が貯蔵されていた等と報じられたこと、関係者の証言により、今も嘉手納弾薬庫等に千三百発近くの核兵器が貯蔵されている疑惑があることを踏まえ、核兵器貯蔵疑惑を曖昧なままとしないよう、学者・専門家なども交えた沖縄県議会による嘉手納弾薬庫、辺野古弾薬庫などの核査察の実施を要請している。
 本陳情に対し、沖縄県知事公室基地対策課は、「今回、報道された番組については、県としても大きな衝撃を受けており、県民の皆様の不安についても理解している。現在、事実関係について、外務省へ照会しているところである。施設の立ち入りについて、沖縄防衛局と調整してまいりたい。」との姿勢を示している。この沖縄県の姿勢は、沖縄県民だけでなく日本国民の生命及び財産を守り、安全で安心して暮らせる社会を持続していく上で極めて重要である。
 沖縄における米軍の核兵器は、一九六九年十一月二十一日付けの佐藤内閣総理大臣とニクソン米国大統領との共同声明第八項及び琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(昭和四十七年条約第二号)第七条に基づき、一九七二年の沖縄返還時に撤去されたとされるが、本陳情にもあるように、沖縄に核兵器が貯蔵されているのではないかとの懸念もいまだ根強い。また、有事の際の核持ち込みに関する日米間の事前協議において、日本側はこれを承認するとのいわゆる「密約」が作成されたことも明らかとなっており、同密約においては、沖縄の核兵器貯蔵地である嘉手納、辺野古等をいつでも使用できるよう維持し、重大な事態の際には活用することが必要となるとの米国の見解も確認できる。
 我が国は、非核三原則を「国是」とする唯一の戦争被爆国であるが、日本政府は、「核兵器の脅威に対しては、核抑止力を中心とする米国の拡大抑止は不可欠であり、その信頼性の維持・強化のために米国と緊密に協力していく」との立場を採ってきた。本年七月に国連本部で百二十二か国が賛成して採択された核兵器禁止条約は、核兵器の開発、実験、製造、取得、保有、使用、貯蔵、移転等を法的に禁じる初の国際条約であるが、政府は、我が国が唯一の戦争被爆国であるにも関わらず、反対の立場を表明した。日本政府の核兵器そのものに対する認識や基本姿勢に疑問を持つ立場から、以下、質問する。

一 核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」とする非核三原則に対する政府の見解を伺いたい。また、非核三原則のうち「持ち込ませず」をどのように担保しているのか、政府の見解を示されたい。

二 沖縄県は本陳情に関して「事実関係について、外務省に照会しているところ」としているが、当該照会に対する外務省の対応を示されたい。

三 沖縄県は本陳情に関して「施設の立ち入りについて、沖縄防衛局と調整してまいりたい」としている。沖縄における核兵器貯蔵を懸念する声に答える観点から、外務省及び防衛省は、嘉手納弾薬庫、辺野古弾薬庫等への沖縄県当局等による立ち入りを実現するべきであると考えるが、現在どのような調整を行っているのか、米軍との調整状況も含めて示されたい。

四 嘉手納弾薬庫及び辺野古弾薬庫の施設規模、構造、貯蔵弾薬の量、種類等について、日本政府の承知しているところをそれぞれ明らかにされたい。

  右質問する。