質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第一二号

高齢者や障害者に対する悪質な携帯電話等契約被害に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十一月十三日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   高齢者や障害者に対する悪質な携帯電話等契約被害に関する質問主意書

 携帯電話やスマートフォン(以下「携帯電話等」という。)は今や国民一人一人にとって不可欠な生活基盤であり、高齢者や障害者など誰にとっても安心して契約し、利用できる社会環境の整備が不可欠である。ところが、二〇一六年五月の改正電気通信事業法の施行やたびたびの総務省による行政指導にもかかわらず、埼玉県戸田市消費生活センターから国民生活センターに報告された二〇一七年五月十三日の事例のように、株式会社NTTドコモ及びその機能分担子会社による、年金生活者に対する極めて悪質で高額な携帯電話契約が未だに行われていた事実と、被害を訴える消費者に対して店頭で確認措置を説明しないなど不十分な対応が行われている事実が判明したので、以下質問する。

一 携帯電話等が国民にとって不可欠な生活基盤となった今、高齢者や障害者など誰にとってもわかりやすく、安心して契約し、利用できる社会環境の整備が不可欠であると考えるが、いかがか。

二 二〇一六年五月の改正電気通信事業法の施行以降も、携帯電話等の契約において、高齢者や障害者などが不当に高額な料金を支払わされ、泣き寝入りしている実態について、早急に調査を行うべきではないか。

三 携帯電話等の解約条件やいわゆるオプションサービスについて、消費者、とりわけ高齢者や障害者にその内容が十分に伝わるようにすること、また、その内容が十分に伝わっていないと携帯電話等の販売店が思料した場合は、契約を行わないようにすることなどを、MNOなど関係事業者に改めて指導すべきではないか。

四 消費者、とりわけ高齢者や消費者が、必要以上のデータ通信量、明らかに利用しないオプションサービスの契約をしないで済むよう、来店時のアンケートの活用の徹底などでニーズの事前把握に一層努めた上で、消費者の側に立った商品の提案を行うといった倫理的な窓口対応を、国民の共有財産である電波を利用するMNOなど関係事業者に強く求めるべきではないか。

五 昨今の携帯電話等の契約内容は、十数個のオプションサービスが付加されたり、無料期間後のオプションサービス解除手続きが非常に煩雑であったりするなど、消費者にとって非常にわかりにくいものになっていて、結果的にサービスをほとんど利用していない消費者が、大きな料金負担をしてしまっていることがあるが、これは世界的にも稀に見る事態であり、改められるべきではないか。

六 客観的に見て明らかに消費者のニーズに合っていないことを事業者側が承知の上で契約したと認められる場合や、月々の請求明細を消費者が容易に確認することができないようにするなどの不当な契約内容が認められる場合は、現行の確認措置の内容に加え、契約時にさかのぼって基本料金も含め全額返金された事例があることを、国民生活センターは国民に対して広く周知すべきではないか。

七 総務省は、MNOなど関係事業者に対し、契約の悪質さの程度によっては、基本料金も含めて全額返金することもありうるよう、確認措置の内容を改善させるべきではないか。

八 現行の確認措置の周知が不十分であるので、これを販売店の店頭や新聞広告などで消費者に伝わるよう、MNOなど関係事業者に指導すると同時に、高齢者や障害者が日常的に接する自治体や金融機関、福祉施設等に対し、確認措置の周知についての協力を依頼すべきではないか。

九 消費者に誤解を生じさせるような広告は厳に慎むよう、MNOなど関係事業者に指導すべきではないか。

十 これ以上、携帯電話等の悪質な契約事例の発覚が相次ぐようであれば、一罰百戒の精神をもって、当該事業者の電波の割り当てを見直したり、免許を取り上げたりするなどの厳しい対応が必要なのではないか。

十一 消費者契約法の改正に向けた議論において、高齢者や障害者の保護の観点から、携帯電話等の悪質な契約による被害防止・被害救済を取り上げるべきではないか。

  右質問する。