質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第一一号

トランプ大統領来日と日朝ストックホルム合意に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十一月十日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   トランプ大統領来日と日朝ストックホルム合意に関する質問主意書

 トランプ米国大統領は、本年十一月六日、迎賓館において、北朝鮮に拉致された被害者や被害者家族と面談(以下「この面談」とする)しました。この面談と平成二十六年五月の日朝ストックホルム合意等との整合性について質問いたします。

一 本年十月十二日、読売新聞は朝刊一面で、「トランプ氏 横田夫妻らと面会へ 来月来日時で調整 「拉致」北に圧力」と報じました。この面談は、日本政府から依頼して実現したものですか。それとも、米国政府から依頼があって実現したものですか。また、最初にこの面談の実現に向けて日米両国政府間で話し合われたのはいつのことですか。

二 政府は、この面談が実現することによりどのような効果が期待できると考えていましたか。また、実際にこの面談が実現したことをどのように評価していますか。

三 日朝ストックホルム合意において日本が解決を求めているのは拉致問題だけではありません。また、政府はことあるごとに「拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くしている」ことを明言しています。政府は、この面談を実現するに当たり、米国政府に「拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題」を説明しましたか。

四 この面談でトランプ大統領と面談する者の人選を行ったのは米国政府ですか、それとも日本政府ですか。また、この面談に「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(以下「家族会」とする)のメンバーだけが招かれた理由を教えて下さい。

五 日朝ストックホルム合意に掲げられた、一九四五年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人、残留日本人、いわゆる日本人配偶者及び行方不明者の関係者又は家族・親族からこの面談に同席したい旨の申し出はありましたか。申し出があった場合、なぜ同席が実現しなかったのか、その理由を明らかにして下さい。

六 前記四に関し、人選を行ったのが日本政府である場合、政府はことあるごとに「拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くしている」と明言しながら、この面談に家族会のメンバーだけを招いたのは、拉致問題の解決が最優先だと考えているからですか。

七 「朝鮮民主主義人民共和国における人権に関する国連調査委員会の報告書」(平成二十六年二月)の詳細版には、「日本の警察は、北朝鮮による拉致の可能性から排除できない日本人行方不明者として、約八百六十名について引き続き捜査・調査している。」ことが盛り込まれています。
 関係者の努力により国連の場で北朝鮮による拉致の可能性を排除できない人(以下「特定失踪者」とする)が存在することが認知されたにもかかわらず、この面談に特定失踪者や日本人配偶者の関係者が同席しなかったことは、日朝間において特定失踪者問題や日本人配偶者問題がもはや存在しないという誤ったメッセージを国際社会に対して発信したとの認識を政府はお持ちですか、見解をお示し下さい。

八 政府は、平成二十五年一月の「拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策」において、「拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くす」との方針を決定しています。今回のトランプ大統領と家族会の面談は、この方針を反故にする極めて偏向した施策であると捉えるものですが、政府は拉致被害者としての認定の有無により自国民を差別しているのですか。

  右質問する。