質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第一〇号

学校現場における毛髪の染色指導に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十一月六日

真山 勇一   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   学校現場における毛髪の染色指導に関する質問主意書

 大阪府の府立高校において、生まれつき毛髪が茶色い生徒に対して黒く染色するよう強要がなされ、肉体的、精神的苦痛を受けた当該生徒が、大阪府を提訴した事案があった(以下「本件事案」という。)。これに関連して、以下、質問する。

一 政府は初・中等教育の学校現場において、生まれつき黒くない毛髪を黒く染色させる指導がなされている事実を把握しているか。

二 人種や出自に基づく差別的取り扱いは憲法で定める基本的人権の侵害にあたる。学校現場において生来の身体的特徴を否定し、これを矯正させるがごとき指導をすることもまた人権を侵害する行為であるとの指摘があるが、政府の見解を明らかにされたい。仮にかかる指導が許容される場合があるとすれば、その理由及び条件を明確に説明されたい。

三 一部の学校では生徒に「地毛登録」をさせることがあると聞く。生徒の人権を守るためとの説明もあるものの、これ自体、人権侵害にあたりかねないとの指摘もあるが、政府の見解を説明されたい。人権侵害にあたらないとするのであれば、その理由及び条件を明確に説明されたい。

四 報道によれば、本件事案において、府立高校側は提訴した側の代理人弁護士に対し「たとえ金髪の外国人留学生でも規則で黒染めさせることになる」と説明したという。かかる規則あるいは校則を設け、そのような指導をすることは、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律第二条にいう「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」にあたるおそれはないか。また、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」にあたらない場合があるとすれば、その理由及び条件を説明されたい。

五 政府は日本社会の多様性を重視し、「共生社会」の実現に向けて努力していると承知している。文部科学省は日本社会の多様性を前提とし、「共生社会」の実現に資する人材を育成するための教育を行うよう指導しているか。また、文部科学省は、人種や出自、遺伝的理由等によって他者と異なる身体的特徴を有する生徒らを、学校現場の多様性に資するとして歓迎するのか、あるいは、同化又は排除を迫るのか、見解を示されたい。

  右質問する。