質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第七号

電磁パルス攻撃に対する原子力関連施設の安全確保に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十一月二日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   電磁パルス攻撃に対する原子力関連施設の安全確保に関する質問主意書

 防衛省は二〇一八年度予算の概算要求で、都市機能や通信網を破壊する、上空高高度における核爆発による電磁パルス(以下「EMP」という。)攻撃に関する研究費として十四億円を計上している。
 他方、二〇一五年八月二日、青森県にある日本原燃株式会社六ヶ所再処理工場(以下「六ヶ所再処理工場」という。)が三つの落雷に襲われ、工場の主要建屋において多数の計測機器が故障した事象について、同年十二月七日に日本原燃株式会社から最終報告書が国へ提出されている。この事象は、核爆発によるものと比較するとごく小さい規模ながら、電磁パルスによる被害と類推される。
 原子力発電所や核燃料再処理工場等がEMP攻撃を受けた場合、核反応や反応熱の制御が不可能になり、重大事故が同時多発し、放射性物質が環境へ放出され、この国の存在にかかわる大惨事が現出することが懸念されるので、以下質問する。

一 原子力発電所がEMP攻撃を受けた場合

1 稼働中の原子力発電所において、臨界反応中の圧力容器炉心へ制御棒を挿入することができるのか。加圧水型、沸騰水型についてそれぞれ答えられたい。
2 前記一の1において制御棒を挿入できない場合、メルトダウンによる放射性物質の環境への放出を防ぐための具体的方法を示されたい。
3 使用済み核燃料プールにおいて冷却系の計測制御が損なわれると懸念されるが、その場合、具体的にどのようにプール内の水の沸騰を抑え、使用済み燃料棒の破損を防ぐのか。

二 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の核燃料サイクル工学研究所と六ヶ所再処理工場(以下「両再処理工場」という。)がEMP攻撃を受けた場合

1 ガラス固化する予定の貯蔵高レベル放射性廃液の冷却系や水素掃気系が破壊されることが懸念されるのではないか、両再処理工場についてそれぞれ答えられたい。
2 前記二の1において、冷却系や水素掃気系が破壊された場合どのように対処していくのか、両再処理工場についてそれぞれ具体的に答えられたい。
3 使用済み核燃料プールにおいて冷却系の計測制御が損なわれると懸念されるが、その場合、具体的にどのようにプール内の水の沸騰を抑え、使用済み燃料棒の破損を防ぐのか。両再処理工場についてそれぞれ答えられたい。

三 その他

1 前記一及び二以外の原子力関連施設がEMP攻撃を受けた場合、メルトダウン等の重大事故へと発展する可能性のある施設の名称と当該事故の想定概要についてそれぞれ答えられたい。
2 EMP攻撃による重大事故を防ぐため、原子力発電所は、その攻撃兆候のある国のミサイル発射情報を受けると同時に原子力発電所を緊急停止するなどの措置を取るべきと考えるが、どうか。
3 EMP攻撃を受けた場合、国内の全原子力関連施設で同時に重大事故が発生することが懸念される。このような悲惨な事態から国民を守るためには、憲法に則り絶対に戦争を避け平和外交に徹する選択肢以外にないと思われるが、どうか。

  右質問する。