質問主意書

第194回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八号

日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所における厚生労働省からの派遣職員に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年九月二十八日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所における厚生労働省からの派遣職員に関する質問主意書

 厚生労働省は、これまで同省の職員を、日本貿易振興機構(以下「ジェトロ」という。)の米国ニューヨーク事務所に派遣し、米国産業界におけるライフサイエンス分野の動向について調査しつつ、日本企業が米国に進出する際の足掛かりとして情報提供や後方支援を担ってきたと聞くところである。
 しかしながらこの夏の人事異動から、日本企業にとって便益が極めて大きかったジェトロ・ニューヨーク事務所への厚生労働省からの派遣が打ち切りになったと聞く。
 米国に進出を考えるバイオ系企業から医薬品流通業まで幅広くすそ野が広がる我が国の医療関係産業の関係者の多くが、ジェトロ・ニューヨーク事務所からの情報提供によって、迅速に米国市場の実態を把握し、適切な進出計画を具体化できる、厚生労働省からの職員派遣の継続を求めているという話を側聞するに鑑み、今回の職員派遣の打ち切りの事実関係について政府の見解を求めるものである。

一 厚生労働省がジェトロ・ニューヨーク事務所への職員派遣を打ち切った理由を明らかにされたい。

二 安倍総理は、これまで我が国の強い経済復活を支える手段として「イノベーション」を国策の中心に位置づけ、平成二十四年の安倍内閣発足以来一貫して「イノベーション」を活性化させるための施策を断行してきたと見る。併せて、安倍総理は、本年三月にドイツ連邦共和国で開催された国際情報通信技術見本市(CeBIT)で、メルケル・ドイツ連邦共和国首相陪席の下で演説され、「Connected Industries」のコンセプトについて発信し、個々の企業がバラバラに開発してきた新技術を共同してつなげることによる技術のさらなる革新可能性に言及された。このように、ライフイノベーション分野に大きな関心をもたれ、また、同時に、情報の共有化と協働の必要性を力説されている安倍総理が、産業界から継続の要望があるにも関わらず、米国における日本企業の情報拠点であり、米国企業と協働するための「足掛かり」となるジェトロ・ニューヨーク事務所への厚生労働省職員の派遣を打ち切るのは、いささか理解し難い。「イノベーション」の活性化と「Connected Industries」を回していくことを政策課題としている安倍内閣であるならば、ジェトロ・ニューヨーク事務所への厚生労働省職員の派遣打ち切りをぜひとも再検討するべきと考えるところであるが、再検討の余地について政府の見解如何。

三 これに関連し、第百九十三回国会にて成立した「厚生労働省設置法の一部を改正する法律」の法案審議において、衆議院厚生労働委員会では、岡本充功委員より「医系技官」の処遇について質されたと記憶するところであるが、この際、医系技官、薬系技官、看護技官などの技術系職員の国際機関への派遣の必要性についても議論がなされ、政府も技術系職員の海外派遣等についてはその意義を認められていたと理解するところである。ついては、医系技官等の国際機関への海外派遣について政府の考え方を明らかにされたい。

  右質問する。