質問主意書

第194回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七号

自衛隊における予防接種の考え方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年九月二十八日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   自衛隊における予防接種の考え方に関する質問主意書

一 自衛隊の任務のひとつであり、国民に広く認知されている「災害派遣」にあっては、自衛隊員の健康管理は、人命救助、災害復興などの任務を迅速に遂行する上で重要な課題であるといえる。
 社会インフラが大きく毀損し、衛生状態が必ずしも完全でないことが予想されるような被災地での活動において、感染症への罹患リスクは必ずしも低いものではなく、自衛隊員が感染症への罹患リスクを負うことなく任務を遂行できる環境整備を行うことは、国家の責任である。
 自衛隊においては、現在、平時の予防接種として全隊員が接種を義務付けられているのは、「破傷風ワクチン」のみであると聞く。
 この点、例えば、警察庁では、職員の新規採用時に、B型肝炎ワクチン及び破傷風ワクチンの予防接種を実施し、また、海上保安庁においても、人命救助などに実地に関わる職員には、B型肝炎ワクチンを予防接種していると聞く。
 一方、自衛隊員は、災害派遣時には、人命救助に携わる機会も多く、血液・体液への曝露可能性も低くはないが、B型肝炎ワクチンの接種は医療職にのみ限られている。このような高い曝露可能性を鑑みるのであれば、自衛隊におけるB型肝炎ワクチンの接種については、対象をすべての自衛隊員に拡大するべきである。
 然して政府の見解を問うが、自衛隊員の感染症予防及び健康障害リスク排除という観点からB型肝炎ワクチンの接種対象者の拡大についてどのような見解をお持ちなのか明らかにされたい。

二 髄膜炎菌に対する予防対策についても、以下の観点から政府の見解を求めるものである。
 陸上自衛隊にあっては、西部方面隊の駐屯地内の隊舎にて集団生活を送る環境において、髄膜炎菌に感染するリスク事例が発生したと聞く。この事例にあっては、同駐屯地内の迅速な衛生管理が功を奏し、感染拡大は確認されなかったと聞く。しかしながら、常に、感染症リスク管理が成功するとは限らない。また、自衛隊のように、集団生活が前提となっているような組織にあっては、常に集団感染リスクに晒されており、予防できる感染症については、リスクと便益を十分に斟酌した上で、予防接種などの積極的な介入を選択することによって、感染リスクは減少させられるものと考える。
 自衛隊の場合には、職務上の必要性から、自衛隊員に集団生活を強いる労働環境にあり、集団生活における衛生環境を保持するについては、国家に責任があるものと考える。
 また、防衛省所管の防衛大学校においては、同大学校の学生寮に入寮していた学生が、髄膜炎菌による感染症によって死亡した事例が報告されたと聞くところであるが、この感染事例を受けて、他の学生自らが、夏季休暇中に医療機関を受診し、髄膜炎菌ワクチンの接種を受けたという話も聞く。このような感染症への不安が防衛大学校の学生に広がっており、自ら予防接種をしなければならない事態があるのであれば、感染症への不安の大きな要因である「集団生活」を強いている防衛省は、少なくとも予防接種を希望する学生に対しては、公費で「髄膜炎菌」の予防接種を受けられるような環境を用意するのが妥当と考える。
 以上、集団生活を強いている環境での「髄膜炎菌」への感染リスク軽減に対する防衛省の考え方及び「髄膜炎菌」の予防接種導入の可能性について政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。