第194回国会(臨時会)
質問第三号 ストックホルム合意と法の下の平等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十九年九月二十八日 有田 芳生
参議院議長 伊達 忠一 殿 ストックホルム合意と法の下の平等に関する質問主意書 平成二十六年五月のストックホルム合意に明記された拉致問題をはじめとする日本人に関する諸問題について、日本国憲法が保障する「法の下の平等」の観点から質問いたします。 一 政府が認定している拉致被害者十七人の中には、本人の意思に反して、暴力的に連れていかれたのではない人が複数含まれています。政府は騙されて北朝鮮に渡った人を拉致被害者として認定していますか。認定しているならばストックホルム合意に明記されている、いわゆる日本人配偶者も拉致被害者と認定すべきではないですか。政府の見解をお示し下さい。 二 私が、本年一月二十日付けで提出した「政府の「拉致問題が最優先課題」とする姿勢に関する質問主意書」(第百九十三回国会質問第七号)に対する答弁(内閣参質一九三第七号)において、政府は「政府としては、御指摘のいわゆる「ストックホルム合意」に基づき、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くしている。また、北朝鮮との関係に関する政府の方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、国交正常化を実現していくというものである。」としています。 ところが、私が本年六月八日付けで提出した「拉致問題に対する政府方針の二面性に関する質問主意書」(第百九十三回国会質問第一二八号)に対する答弁(内閣参質一九三第一二八号)の四から六までについてでは、政府の拉致問題に関する取組として、本年三月十日に中山恭子参議院議員が提出した「政府の拉致被害者救出に向けた施策に関する質問主意書」(第百九十三回国会質問第五〇号)に対する答弁(内閣参質一九三第五〇号。以下「答弁書第五〇号」とする)の一及び二に対する答弁が挙げられています。政府は、この答弁書第五〇号の一及び二についてにおいて、「全ての拉致被害者の一刻も早い帰国の実現等に向けて最優先で取り組んでいるところである」としていますが、日本人配偶者の問題など他にも懸案があるにもかかわらず、拉致被害者の帰国の実現を最優先にするのは日本国憲法が保障する「法の下の平等」の観点からすると不平等だと考えるものですが、政府は不平等とは考えていないのですか。見解をお聞かせ下さい。 三 平成二十五年一月二十五日拉致問題対策本部決定の「拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策」において、政府は「拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くす」としており、「北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律」(平成十四年法律第百四十三号)第二条に基づき政府に認定された拉致被害者と、認定されていない拉致被害者との公平な取り扱いを明言しています。平成二十八年度において同法第二条各号に該当する者たちに対して支出された政府予算の総額はいくらですか。また、平成二十八年度において北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者(行方不明者)及びその家族に対して支出された政府予算の総額はいくらですか。 四 「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」(平成十八年法律第九十六号。以下「北朝鮮人権法」とする)第二条に規定する「その他北朝鮮当局による人権侵害問題」とはストックホルム合意に明記されている「いわゆる日本人配偶者」に係る問題であることを、政府はこれまでに繰り返し明言しています。 政府は、「いわゆる日本人配偶者」が現時点において何人生存していると把握していますか。また、平成二十八年度においてこの問題の解決のためにどのような取組をされたのか、その実績を具体的にお示し下さい。 五 平成二十八年度、政府は北朝鮮人権法第六条に規定する「脱北者の保護及び支援」に関しどのような取組をされたのか、その実績を具体的にお示し下さい。 六 政府は、これまで累次にわたり「ストックホルム合意に基づき、日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くしている」と明言しています。これは、日本人に関する全ての問題について、日本国憲法が保障する「法の下の平等」に基づき、それぞれの問題に優先順位を付けることなく公平に取り組んでいるという意味ですか。 右質問する。 |