質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六五号

内閣参質一九三第一六五号
  平成二十九年六月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員小西洋之君提出七・一閣議決定の法的安定性と論理的整合性の意味等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出七・一閣議決定の法的安定性と論理的整合性の意味等に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。お尋ねの「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定。以下「閣議決定」という。)におけるものも含め、政府の憲法解釈におけるお尋ねの「論理的整合性」とは、政府の憲法解釈がこのような論理的な追求の結果として示されたものであることを指す。
 また、お尋ねの「法的安定性」とは、法の制定、改廃や、法の適用を安定的に行い、ある行為がどのような法的効果を生ずるかが予見可能な状態をいい、人々の法秩序に対する信頼を保護する原則を指すものと考えている。仮に、政府において、論理的整合性に留意することなく、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、法的安定性を害し、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。

三及び四について

 一及び二についてで述べたとおり、「論理的整合性」と「法的安定性」とは密接に関連するものであることから、御指摘の「政府の見解」の中の文言を「論理的整合性」及び「法的安定性」に区分してお答えすることは困難である。また、閣議決定における御指摘の「政府の憲法解釈には論理的整合性と法的安定性が求められる」の部分は、このような御指摘の「政府の見解」と同様の趣旨を述べたものである。