質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第一四三号

内閣参質一九三第一四三号
  平成二十九年六月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出児童福祉における司法関与の拡大に対応する体制整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出児童福祉における司法関与の拡大に対応する体制整備に関する質問に対する答弁書

一について

 厚生労働省が、平成二十八年四月一日から同年七月三十一日までの四か月間に終了した一時保護を対象に全国の児童相談所に対して行った調査(以下「児童相談所調査」という。)の結果を基にすると、親権者等の意に反して行われた一時保護であって、二か月を超えるものの件数は、年間で四百六十八件と推計される。児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成二十九年法律第六十九号。以下「平成二十九年改正法」という。)施行後における家庭裁判所による一時保護の承認の審判は、新たな仕組みであることから、家庭裁判所の承認を得なければならない一時保護の件数を正確に予測することは困難であるが、児童相談所調査の結果を踏まえれば、その推計件数を大きく上回るとは考えられず、その上で、児童相談所は全国に二百十か所設置されていることを踏まえれば、一児童相談所当たりの一時保護の家庭裁判所による承認に係る業務が過大な負担になるとは考えていない。

二について

 一についてで述べたとおり、平成二十九年改正法による改正により児童相談所の業務が過大な負担になるとは考えていないが、児童相談所の体制及び専門性を計画的に強化するため、平成二十八年四月に「児童相談所強化プラン」(平成二十八年四月二十五日厚生労働省児童虐待防止対策推進本部決定)を策定し、平成二十八年度から平成三十一年度までにおいて、児童相談所に置かれる児童福祉司等の専門職について千百二十人程度の増員を目指している。また、児童福祉司の資質の向上を図るため、昨年成立した児童福祉法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第六十三号)による改正後の児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)において、児童福祉司に研修の受講が義務付けられ、本年四月から、厚生労働省において策定した研修カリキュラムに基づき、必要な研修が実施されているほか、法律に関する専門的な知識経験を必要とする児童相談所の業務を適切かつ円滑に行うため、都道府県等は、児童相談所における弁護士の配置又はこれに準ずる措置を行うこととされ、厚生労働省としては、都道府県等に対して、そのために必要な費用の補助を行っているところである。こうした取組を通じて、児童相談所の体制整備を図ってまいりたい。

三について

 家庭裁判所の専門性の向上については、裁判所において、裁判官等を対象に、児童虐待等に関する研修を行うなどしており、今後も、平成二十九年改正法の趣旨を踏まえ、適切に対応していくものと考えている。
 また、家庭裁判所の人的体制の整備については、裁判所において、家庭裁判所による一時保護の審査など、平成二十九年改正法により新たに導入される制度の円滑な運用のため、これまで増員してきた裁判官を含む裁判所職員の有効活用を図るほか、平成二十九年改正法の趣旨を踏まえ、適切に対応していくものと考えている。