質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三九号

内閣参質一九三第一三九号
  平成二十九年六月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出IoTやビッグデータ解析、人工知能等のイノベーション利活用による「日本版・第四次産業革命」を見据えた我が国電機産業の発展に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出IoTやビッグデータ解析、人工知能等のイノベーション利活用による「日本版・第四次産業革命」を見据えた我が国電機産業の発展に関する質問に対する答弁書

一について

 第四次産業革命の進展により産業構造や就業構造が変化し、これに伴って、御指摘の「必要とされる資質や能力・スキル」も大きく変化していく。こうした変化に対応できるよう、あらゆる人材がそれぞれのニーズに応じてITを使いこなす能力を身に付けられるようにするなど、教育・人材育成を抜本的に拡充していく必要があると考えている。
 このため、「未来投資会議」等における議論を踏まえた「未来投資戦略二○一七」(平成二十九年六月九日閣議決定)においては、「社会人の生涯学び直し」における「IT・データスキル」等育成の抜本拡充等について盛り込んでいるところであり、これらの取組を進めてまいりたい。

二の1について

 人工知能技術の実用化に向けては、「人工知能技術戦略会議」が平成二十九年三月三十一日に人工知能の利活用に求められる人材の知識・技能を含め取りまとめた「人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ」を着実に遂行してまいりたい。
 また、人工知能技術やその活用方法の習得については、同ロードマップに基づき、人工知能の研究開発・産業化を担う人材育成の取組を進めてまいりたい。

二の2について

 内閣府においては、「人工知能と人間社会に関する懇談会」を開催して、人工知能技術による事故等の責任の所在等の今後取り組むべき論点を整理して平成二十九年三月二十四日に報告書を取りまとめたところである。今後、各分野での人工知能技術の実用化に当たっては、当該報告書で示した課題について検討を進めてまいりたい。

三について

 老朽インフラへの対応については、早急に対策を講じるべき課題として認識している。このため、政府としては、「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(平成二十九年五月三十日閣議決定)において、「インフラ・防災・減災等分野」を重点分野として指定したところであり、同計画に基づき、インフラの維持管理業務の効率化を促進するため、モニタリング技術の現場実証等老朽インフラに対する技術的対応を推進することとしている。

四について

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)に基づく番号制度においては、個人番号関係事務実施者(同法第二条第十三項に規定する個人番号関係事務実施者をいう。以下同じ。)となる民間事業者は、同法第九条第三項の規定により、当該民間事業者の従業者等の個人番号を必要な限度で利用しているが、御指摘の同法第二十二条第一項の規定に基づく特定個人情報(同法第二条第八項に規定する特定個人情報をいう。以下同じ。)の提供義務は、同法第十九条第七号に規定する情報提供者に課せられるものであり、個人番号関係事務実施者となる民間事業者に当該提供義務が課せられることはない。
 政府としては、御指摘の「法人間をまたいだ異動・転籍」に係る場合も含め、特定個人情報の適切な管理のために必要な措置について、特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)(平成二十六年特定個人情報保護委員会告示第五号)を策定し、事業者の具体的な対応を示して普及に努めるとともに、中小規模事業者における対応方法を示すなど事務負担の軽減を図っているほか、従業者を含めた国民一般に対して、政府広報等を活用した周知を図っているところである。

五について

 御指摘の「国民の利便性向上及び行政運営の効率化」とともに、「企業における行政手続きの効率化」を実現するため、電子行政の推進は重要であると認識している。
 こうした認識の下、政府としては、「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」において、「電子行政分野」を重点分野として指定したところであり、同計画に基づき、組織横断のワンストップサービスの実現等の情報システム改革・業務改革を国と各地方公共団体が一体的に進めることとしている。

六について

 政府としては、「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」に沿って、個人に関するデータについて、当該個人の関与の下で流通・活用を進める仕組みをはじめ、個人情報の保護に配慮した上でのビッグデータの活用環境の整備に向け、これらの仕組みや活用環境に関する実証実験等を行い、必要な支援策や制度の在り方等について、検討を行ってまいりたい。

七について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、民間事業者におけるサイバーセキュリティ対策に関する取組について、例えば、「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」(平成二十七年十二月二十八日経済産業省及び独立行政法人情報処理推進機構策定、平成二十八年十二月八日改訂)において、経営者がサイバーセキュリティ対策について認識する必要がある事項等をまとめている。また、「サイバーセキュリティ人材育成プログラム」(平成二十九年四月十八日サイバーセキュリティ戦略本部決定)に基づき、重要インフラ事業者等を対象とした人材育成施策を推進することとしている等、サイバーセキュリティ対策の支援に取り組んでいる。