質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一二号

内閣参質一九三第一一二号
  平成二十九年五月二十六日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出精神医療審査会の現状と課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出精神医療審査会の現状と課題に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号。以下「法」という。)第二十九条第一項等の規定による入院は、都道府県知事等又は精神科病院(法第十九条の五に規定する精神科病院をいう。以下同じ。)の管理者が法第二十九条第一項等の規定に基づく精神保健指定医(以下「指定医」という。)の診察等を経て行っているほか、精神医療審査会は、法第三十八条の三第二項の規定に基づく審査をするに当たっては、同条第三項の規定により、必要があると認めるときは、入院中の者に対して意見を求めること等ができるとされている。
 また、精神医療審査会は、法第三十八条の五第二項の規定に基づく審査をするに当たっては、同条第三項の規定により、原則として当該審査に係る法第三十八条の四の規定による請求をした者及び当該審査に係る入院中の者が入院している精神科病院の管理者の意見を聴かなければならないこととされているほか、法第三十八条の五第四項の規定により、審査に当たって必要があると認めるときは、当該審査に係る入院中の者の同意を得て委員に診察させること等ができるとされている。
 このように、精神医療審査会においては入院中の者や関係者の意見等を踏まえた慎重な審査が行われている。
 御指摘のとおり、法第三十八条の三第二項及び法第三十八条の五第二項の規定に基づく審査において、現在の入院等が適当との審査結果が大半を占めているが、これらの入院時の手続や精神医療審査会による審査の仕組みに照らして、現在の入院等が適当との審査結果が多いことのみをもって当該審査結果を評価することは適当でないと考えている。
 また、これらの入院時の手続や定期に精神医療審査会による審査が行われていることに照らし、法第三十八条の四の規定に基づく請求の件数が少ないと評価することは困難と考えている。

三について

 御指摘の「精神医療審査会やその事務局を担う精神保健福祉センターの機能強化」が具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、精神医療審査会について、一及び二についてで述べた役割に鑑み、患者の権利の擁護の観点からその機能を強化することは重要と考えている。このため、現在、国会に提出している精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案による改正後の法(以下「新法」という。)においては、入院時の患者の権利の擁護をより一層図る観点から、新たに、都道府県知事等が法第二十九条第一項の規定による入院措置を採ったときは、当該入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し精神医療審査会に審査を求めなければならないこととしている。
 また、新法第十九条第二項において同条第一項に規定する研修を受けなかったときのほか、新たに厚生労働省令で定める業務に従事しなかったときも原則として指定医の指定が失効することとしており、この業務として、精神医療審査会の委員としての業務を定めることにより、精神医療審査会において指定医である委員をより確保しやすい環境を整備することを検討している。これを通じて、精神医療審査会の機能強化を図り、実効性のある審査が行われるよう取り組んでまいりたい。
 さらに、精神医療審査会の事務局を担う法第六条第一項に規定する精神保健福祉センターの機能強化を図ることは重要と考えており、体制の整備等必要な対応について、地方公共団体の状況も踏まえながら、引き続き検討してまいりたい。

四について

 精神医療審査会における審査の迅速化は重要であると考えており、その審査の迅速化を図るため、三についてで述べたとおり精神医療審査会において指定医である委員をより確保しやすい環境を整備することを検討しているほか、精神医療審査会の合議体の委員に欠員が生じた場合等に速やかに当該欠員を補充等できるように、合議体に属さない委員をあらかじめ任命しておくよう周知をしていく予定である。あわせて、これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会の報告書の指摘を踏まえ、各自治体における平均処理日数の共有や好取組の紹介等の取組も促進してまいりたい。