質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇七号

内閣参質一九三第一〇七号
  平成二十九年五月二十三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員藤末健三君提出北朝鮮のミサイル発射を想定した避難訓練の実施に向けた政府の働きかけに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出北朝鮮のミサイル発射を想定した避難訓練の実施に向けた政府の働きかけに関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十九年五月十九日現在、政府として承知しているところでは、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練(以下「避難訓練」という。)を実施した地方公共団体は、同年三月十七日に政府と共同で避難訓練を実施した秋田県男鹿市及び同年五月十一日に単独で避難訓練を実施した青森県むつ市である。両市の避難訓練では、弾頭の種類は特段想定されていなかったものと承知している。
 また、同年六月四日に山口県において、同月九日に山形県において、それぞれ政府と共同での避難訓練が実施される予定である。さらに、同月四日に福岡県大野城市において単独での避難訓練が、同月十二日に同県築上郡吉富町において同県と共同での避難訓練が、それぞれ実施される予定と承知している。なお、これらの避難訓練の詳細な内容については、今後検討されることとなっていると承知している。
 これらのほか、新潟県及び長崎県が政府と共同での避難訓練の実施を検討していると承知している。

二から四までについて

 政府としては、現在、都道府県の国民保護担当者に対する説明会等を通じ、避難訓練を政府と共同で積極的に実施するよう働き掛けているところである。具体的には、内閣官房の通知を受けて消防庁国民保護室長及び国民保護運用室長から各都道府県防災・国民保護担当部局長宛てに発出した平成二十九年四月十九日付けの通知において、内閣官房、消防庁及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)との共同での避難訓練の実施について要請したところである。また、同月二十一日に行われた御指摘の都道府県の国民保護担当者に対する説明会に加えて、同年五月九日に開催した平成二十九年度都道府県国民保護担当課長会議においても、避難訓練の実施と弾道ミサイル落下時に身を守るために取るべき行動等についての国民及び市町村への情報提供の要請を行ったところである。今後は、必要に応じ、都道府県に対し引き続き避難訓練の実施並びに国民及び市町村への情報提供についての要請を行うとともに、都道府県からの相談に丁寧に応じること等により、政府として避難訓練の実施等を呼び掛けてまいりたい。
 また、お尋ねの「政府が直接、各市町村に対して説明会を実施する」ことについては、現時点において、予定していない。

五について

 避難訓練を実効的なものにすることは、政府として重要であると考えており、関係機関に対し、関係省庁において連携しながら、必要な助言等を行ってまいりたい。

六について

 政府としては、国民の生命・財産を守るため、平素より、弾道ミサイル発射やテロ攻撃を含む様々な事態を想定し、関係機関が連携して各種のシミュレーションや訓練を行っているところである。
 「原子力発電所(稼働中のもの、休止中のものを問わず)に対する北朝鮮によるミサイル攻撃および北朝鮮の工作員によるテロ攻撃」についてのお尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、弾道ミサイルが発射された場合の対応については、弾道ミサイル発射に関する兆候を早期に察知し、多層的な防護態勢により、機動的かつ持続的に対応することとしており、テロ攻撃への対応については、事業者、警察、海上保安庁、自衛隊等の関係機関が適切に連携し、迅速かつ的確に対応することになる。また、武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第一条に規定する武力攻撃事態等又は同法第二十二条第一項に規定する緊急対処事態に該当する場合には、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号)等の関係法令に基づき、警報の発令や住民の避難に関する措置等、周辺住民の保護のために必要な措置を迅速かつ的確に行う所存である。