質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第八八号

内閣参質一九三第八八号
  平成二十九年四月二十八日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員山本太郎君提出「テロ等準備罪」新設法案に「テロの定義」が明記されていないことに関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出「テロ等準備罪」新設法案に「テロの定義」が明記されていないことに関する再質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、今国会に提出している組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「改正後組織的犯罪処罰法」という。)第六条の二における「組織的犯罪集団」とは、「団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるもの」をいい、同条における「テロリズム集団」は、テロリズムの一般的な意味を前提として、この「組織的犯罪集団」の典型として分かりやすいものを例示したものであるところ、同条の適用において、このような一般的な意味における「テロリズム集団」の概念を超えて、「テロリズム集団」とその他の「組織的犯罪集団」とを「峻別」する必要はないと考えている。

二から四までについて

 改正後組織的犯罪処罰法第六条の二の規定による処罰の対象となるのは、同条第一項各号に掲げる罪に当たる行為で、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」の「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」又は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるもの」の遂行を「二人以上で計画」し、「その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われた」場合に限られており、「個人が単独で計画し」た場合は、同条の規定による処罰の対象とはならない。
 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(以下「本条約」という。)が定める義務を満たすための法整備を行って本条約を締結し、国際社会と協調してテロを含む組織犯罪と戦うことは重要な課題であり、テロを含む組織犯罪に対処するための万全の態勢を整えることは、三年後に差し迫った二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催国の当然の責務であると考えている。
 もとより、テロリズムへの対策は、当該法整備を行って本条約を締結することにとどまるものではなく、テロリズムの防止に向けて、様々な対策を行うことが重要であると考えている。

五及び六について

 お尋ねの「他の構成員」及び「テロリストとの関係が疑われる者」のいずれについても、その者が、改正後組織的犯罪処罰法第六条の二第一項各号に掲げる罪に当たる行為で、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」の「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」又は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるもの」の遂行を「二人以上で計画した者」に該当する者であるとの具体的な嫌疑が存する場合でなければ、同条の罪について捜査の対象となることはない。