質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第七二号

内閣参質一九三第七二号
  平成二十九年四月十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員山本太郎君提出「テロ等準備罪」新設法案に「テロの定義」が明記されていないことに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出「テロ等準備罪」新設法案に「テロの定義」が明記されていないことに関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 「テロリズム」とは、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受入れ等を強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうと承知している。
 今国会に提出している組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「改正後組織的犯罪処罰法」という。)第六条の二における「テロリズム集団」は、同条第一項において定義している「組織的犯罪集団」すなわち「団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるもの」の典型として分かりやすいものを例示したものであり、この「テロリズム」の語は、右に述べた「テロリズム」の一般的な意味を前提として用いているものである。

四について

 一から三までについてで述べた一般的な意味の「テロリズム」に当たる行為を行う者を指すものである。

五から七までについて

 改正後組織的犯罪処罰法第六条の二の罪は、お尋ねの「「テロ組織を含む組織的な犯罪集団」との「関わり」」があることを理由として処罰するものではなく、同条の規定による処罰の対象となるのは、同条第一項に規定する「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」の「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者」、あるいは、同条第二項に規定する「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者」に該当する者に限られることから、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と関わりがない方が同条の規定による処罰の対象となるものではないことは明確であり、また、これらの行為を行った者であるとの具体的な嫌疑が存する場合でなければ、同条の罪について捜査の対象となることがないことは当然である。

八について

 お尋ねの「通信傍受が可能とされる犯罪の範囲を拡大すること」を「「テロリスト」への「考え得る限りの対応」」として考慮しているということはない。