質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第四八号

内閣参質一九三第四八号
  平成二十九年三月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員藤末健三君提出産業用電気料金の引き下げによる国内産業の国際競争力強化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出産業用電気料金の引き下げによる国内産業の国際競争力強化に関する質問に対する答弁書

 電気料金が値上げされた場合に、我が国経済にどのような影響があるかについて、一概にお答えすることは困難であるが、例えば、「日本経済二千十一―二千十二」(平成二十三年十二月内閣府政策統括官室(経済財政分析担当))における試算によれば、発電コストの上昇により電気事業における生産性が十パーセント程度低下した場合には、非鉄金属業等における生産量等が減少すること等により、我が国の潜在GDPは〇・三九パーセントから〇・六〇パーセント程度減少すると見込まれる。
 政府としては、電気料金の上昇を極力回避するべきと考えており、電気事業制度改革に取り組み、平成二十八年四月に電力小売全面自由化を実施した。
 また、「エネルギー基本計画」(平成二十六年四月十一日閣議決定)において、「いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」こととしており、今後、原子力発電所の再稼働が進展していけば、電気料金の抑制に資すると考えている。
 省エネルギー機器の導入についても、国内産業の国際競争力の強化に向けた重要な取組であると考えている。例えば、平成二十八年度予算においてエネルギー使用合理化等事業者支援補助金を措置し、トップランナー基準を満たす機器等の省エネルギー設備の導入支援を行っている。
 いずれにせよ、我が国の産業は厳しい国際競争にさらされており、引き続き国際競争力の強化に取り組むことが重要であると認識している。政府としては、これまでもエネルギーコストの問題を含む高コスト構造の是正に取り組んできたところであり、今後とも産業用電気料金も含めた様々な要素が国内産業の国際競争力に及ぼす影響を注視しつつ、必要に応じて適切な対策を講じてまいりたい。