第193回国会(常会)
答弁書第三二号 内閣参質一九三第三二号 平成二十九年二月二十四日 内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 伊達 忠一 殿 参議院議員福島みずほ君提出オスプレイの危険性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員福島みずほ君提出オスプレイの危険性に関する質問に対する答弁書 一について 平成二十八年十二月十三日に沖縄県名護市の沖合で発生した垂直離着陸機MV二二オスプレイ(以下「MV二二」という。)の不時着水事故(以下「本件事故」という。)において、事故機に搭乗していた人員は五名であり、その中に行方不明者はいないと承知している。 二について お尋ねの「オスプレイの機内に搭載されているものと同じフライトマニュアルまたは運用規程手順書」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、米軍のMV二二の機内にいかなる文書が搭載されるのかについては、政府として承知する立場にない。 三、四及び七について お尋ねの「オスプレイのフライトマニュアル」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、一般に、米軍が保有するマニュアルの詳細については、政府としてお答えする立場にない。 五について 本件事故については、引き続き米側において調査しているところであり、政府としては、現時点での当該調査の進捗状況及び完了時期については承知していない。なお、米側における事故原因の調査報告書については、平成八年十二月二日の日米合同委員会合意では、米軍航空機の事故調査報告書の公表可能な写しの日本国政府への提供は、原則として、日本国政府による要請の日から六か月以内になされるものとされており、政府としては、米国政府に対し、平成二十八年十二月十九日に本件事故に係る事故調査報告書の公表可能な写しを提供するよう要請したところである。 六について 本件事故については、引き続き米側において調査しているところであるが、政府としては、空中給油訓練の際にMC一三〇の給油ホースが事故機のプロペラに接触した原因としては、夜間の空中給油という搭乗員の高い技能を要するオペレーションが強風、乱気流といった気象条件下で行われていたという環境要因のほか、人的要因も複合的に重なって発生した可能性が挙げられると考えている。なお、この分析については、米側とも見解が一致したところである。 八について 政府としては、本件事故の発生以降、本件事故の原因、対策等について米側との間で集中的かつ緊密に協議を行ってきたところである。 平成二十八年十二月十九日のMV二二の空中給油を除く飛行の再開については、米側から、本件事故は、空中給油訓練の際にMC一三〇の給油ホースが事故機のプロペラに接触したことによるものであり、集合教育、手順の確認及び地上におけるシミュレーターを用いた空中給油のシミュレーション等が完了した後に空中給油を実施すること、日本におけるMV二二の飛行を一時停止し、普天間飛行場に配備されているMV二二全機の機体構造、電気系統、エンジン、油圧機構等の飛行安全上の重要箇所全てについて点検し、問題がないことを確認していること等の説明を受けたところである。政府としては、この米側の説明につき、本件事故当時の気象状況、MV二二の機体構造、プロペラ損傷時に安全に着陸するための対応要領等についての防衛省・自衛隊の専門的知見に照らして確認し、当該説明について合理性が認められると判断したところである。 平成二十九年一月六日のMV二二の空中給油の再開については、現時点において、本件事故については、引き続き米側において調査しているところであるが、当時の天候は、夜間の空中給油を行うために許容される条件の範囲内であったと承知している。政府としては、空中給油訓練の際にMC一三〇の給油ホースが事故機のプロペラに接触した原因としては、夜間の空中給油という搭乗員の高い技能を要するオペレーションが強風、乱気流といった気象条件下で行われていたという環境要因のほか、人的要因も複合的に重なって発生した可能性が挙げられると考えている。なお、この分析については、米側とも見解が一致したところである。 さらに、政府としては、米側から、空中給油訓練は、今後とも、陸地から離れた海域の上空でしか実施せず、陸地の上空では実施しないことも確認したところである。 その上で、政府としては、米側から得た情報等を踏まえ、当該接触を引き起こした要因についてあらゆる可能性を分析した上で、当該要因について、これまで米軍が空中給油の再開に向けてとってきた安全対策が適切なものとなっているかについて評価を行った結果、本件事故の原因となり得る人的要因及び環境要因を幅広く網羅する再発防止策が全て実施されたことを確認し、これらの対策は、防衛省・自衛隊の専門的知見及び経験に照らしても妥当であることから、安全に空中給油を再開する準備は整ったものと考えたところである。 九及び十について 政府としては、本件事故において事故機に給油した給油機は、米空軍所属のMC一三〇であると承知しているが、当該給油機が米海兵隊所属の事故機に給油した理由については、米軍の運用に関することであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。 十一について お尋ねの「オスプレイの低空飛行訓練、夜間飛行訓練や、オスプレイによるつり下げ訓練の実施回数」については、米軍の運用に関することであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。 十二について MV二二については、そもそも、平成十七年に米国政府がその安全性・信頼性を確認した上で、量産が開始されたものであり、また、平成二十四年四月にモロッコで発生したMV二二の事故及び同年六月に米国フロリダ州で発生した垂直離着陸機CV二二オスプレイの事故の各調査結果の分析評価や平成二十四年九月十九日の「日本国における新たな航空機(MV―22)に関する日米合同委員会合意」(以下「合同委員会合意」という。)等を総合的に勘案し、我が国におけるMV二二の運用について、その安全性を確認している。 また、平成二十六年に我が国も垂直離着陸機V二二オスプレイ(以下「V二二」という。)を導入することを決定したが、その検討過程において、各種技術情報を収集・分析し、V二二が安全な機体であることを改めて確認している。 さらに、MV二二の運用については、政府として、合同委員会合意を遵守し、安全性を最大限確保するよう米側に申し入れており、米側においても、今後も合同委員会合意を遵守し、安全性を最大限確保する旨述べているところである。 |