質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第二三号

内閣参質一九三第二三号
  平成二十九年二月十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員徳永エリ君提出TPP協定、日EU経済連携協定及びRCEPに対する今後の日本の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員徳永エリ君提出TPP協定、日EU経済連携協定及びRCEPに対する今後の日本の対応に関する質問に対する答弁書

一の1及び5について

 御指摘の「米国抜きでのTPP協定発効」の意味するところが必ずしも明らかではないことから、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、数年間の交渉を経て環太平洋パートナーシップ協定(以下「TPP協定」という。)に結実したルールは、TPP協定にとどまらず、我が国と欧州連合(以下「EU」という。)との経済連携協定(以下「日EU・EPA」という。)、東アジア地域包括的経済連携(以下「RCEP」という。)等の通商交渉におけるモデルとなり、二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待される。我が国としては、この成果を基礎として、世界に自由で公正な経済圏を広げていくことを目指している。普遍的価値を共有する国々とこうした新たなルールを作っていくことは、経済のみならず、地域の平和と安定にも大きく寄与する。今後、米国に対してもこのような考え方を伝え、TPP協定が持つ安全保障を含む戦略的、経済的意義について、腰を据えて理解を求めていきたい。また、TPP協定の発効に向けた取組について、引き続き各国と緊密に連携しつつ、主導的役割を果たしていきたい。

一の2について

 御指摘の「米国抜きでのTPP協定発効」の意味するところが必ずしも明らかではないが、TPP協定については、TPP協定第三十・五条の規定により、米国がその関係する国内法上の手続を完了した旨を書面により寄託者に通報しない限り、発効しない。また、TPP協定の改正手続については、TPP協定第三十・二条において、「締約国は、この協定の改正につき書面により合意することができる。改正は、全ての締約国によって合意され、かつ、各締約国の関係する国内法上の手続に従って承認される場合には、全ての締約国がそれぞれの関係する国内法上の手続に従って当該改正の承認を書面により寄託者に通報した日の後六十日で、又は締約国が合意する他の日に効力を生ずる。」と規定しているが、この規定は、TPP協定発効後の改正について定めるものであり、TPP協定は、現時点で発効していない。

一の3について

 御指摘の「TPP協定の原署名国である米国が離脱」の意味するところが必ずしも明らかではないが、TPP協定の発効いかんにかかわらず、TPP協定の原署名国とは、平成二十八年二月四日にTPP協定に署名した国を指すことから、御指摘の通知がなされても、米国が原署名国であること自体に変わりはないと考えている。なお、TPP協定は、現時点で発効していない。

一の4について

 TPP協定交渉は、多くの分野について同時並行で交渉を行い、全体を通じたバランスに配意し、ぎりぎりのところで合意に至ったものである。また、TPP協定に関連して作成された日米並行交渉に関する文書は、我が国の利益等も総合的に勘案し、これまでの取組や今後行う取組を確認した法的拘束力を有しない文書である。したがって、我が国が米国に対して譲歩しただけで、何も得ていないとの御指摘は当たらない。

一の6について

 TPP協定交渉においては、我が国は、衆議院及び参議院の農林水産委員会の決議をしっかりと受け止め、粘り強く交渉を行い、その結果、関税撤廃の例外を数多く確保するなど、国益にかなう最善の交渉結果が得られたと考えている。
 政府としては、今後の経済連携協定交渉においても、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求する考えである。

一の7について

 御指摘の「TPP協定交渉のために要した経費の総額と内訳」の意味するところが必ずしも明らかではないことから、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、我が国がTPP協定交渉に正式参加した平成二十五年七月のマレーシア会合から、TPP協定交渉が大筋合意に至った平成二十七年九月から十月に行われた米国会合まで、計二十二回行われた閣僚会合、首席交渉官会合等に要した内閣官房職員に係る海外出張経費の総額は、約四億七千万円である。

二の1について

 日EU・EPAについては、可能な限り早期の大枠合意を目指し、様々なレベルで精力的に交渉を行っているところであるが、次回交渉会合の場所及び日程については、我が国とEUとの間で現在調整中である。

二の2について

 日EU・EPAについては、現在交渉中であることから、交渉に係る個別具体的な内容をお答えすることは差し控えたいが、現在、我が国とEUとの間で、物品貿易、サービス貿易、投資、知的財産、政府調達等の分野について、交渉が進められているところである。

二の3について

 日EU・EPAについては、現在交渉中であり、その内容が確定していないことから、特定の地方又は産業への影響について、現時点で具体的にお示しすることは困難である。

二の4及び5について

 御指摘の説明会の開催については現時点で何ら決まっていないが、政府としては、公開できる情報については、交渉の進展に応じて、しっかりと国民に提供していく考えである。

三の1について

 RCEPについては、これまでの交渉において、我が国を含む交渉参加国の間で、物品貿易、サービス貿易及び投資の分野で実質的な市場アクセス交渉が開始されているほか、知的財産、電子商取引等の分野について交渉が行われている。本年二月二十七日から三月三日までの間、神戸で開催される次回交渉会合においても、これらの分野について作業部会等が開催され、議論が行われる予定である。

三の2及び3について

 御指摘の説明会の開催については現時点で何ら決まっていないが、政府としては、公開できる情報については、交渉の進展に応じて、しっかりと国民に提供していく考えである。