質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第一九号

内閣参質一九三第一九号
  平成二十九年二月七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員藤末健三君提出性的指向又は性自認を理由とする差別等の解消に向けた取組に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出性的指向又は性自認を理由とする差別等の解消に向けた取組に関する質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘の「セクハラ指針の周知及び運用状況」、「性的指向又は性自認を理由とする差別やハラスメントを禁止する旨の就業規則等への明記」及び「期待される効果」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成十八年厚生労働省告示第六百十五号)においては、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十一条の規定に基づき、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものであり、都道府県労働局において、事業主等に対し、パンフレットの配布等により当該指針の内容を周知しているところである。
 当該指針においては、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関し雇用管理上講ずべき措置として、例えば、「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」、「相談・・・に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」、「職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応」等を規定しているところである。

一の2について

 政府としては、性的指向又は性自認を理由として差別されることなく働きやすい職場環境を実現することが重要と考えている。
 このため、政府においては、事業主等に対して、公正な採用選考やパワーハラスメント及びセクシュアルハラスメント防止対策に係る啓発活動の中で、性的指向や性自認についても周知しているほか、広く国民に対して性的指向や性自認を理由とする差別解消に向けた啓発活動を行っているところである。
 また、都道府県労働局において労働相談や都道府県労働局長による助言等を実施することとしているほか、法務局・地方法務局において人権相談や人権侵犯事件の調査救済を実施するなどの取組を行っている。

二について

 御指摘の「性的指向又は性自認を理由とする差別等に関する相談に的確に応じ、LGBTを支援する団体に関する情報の提供その他の必要な支援を行うための総合的な窓口」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、学校内において相談を受ける人権教育担当者や生徒指導担当者等を対象とする研修を通じて性的指向又は性自認に関する適切な理解を促したり、公正な採用選考やパワーハラスメント及びセクシュアルハラスメント防止対策に係る事業主等に対する啓発活動の中で性的指向や性自認についても周知するなどの取組を行っており、また、法務局・地方法務局において性的指向又は性自認を理由とするものを含む差別等に関する人権相談に応じているところであって、引き続き、このような取組を行ってまいりたい。

三について

 御指摘の「国際社会における性的指向及び性自認をめぐる環境の変化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成十二年法律第百四十七号)第七条の規定に基づき策定された「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成十四年三月十五日閣議決定)を踏まえて、性的指向や性自認を理由とした偏見や差別の解消を目指して、啓発冊子の配布等の人権啓発活動を実施している。