質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第一二五号

医療事故と特定機能病院の承認に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年六月七日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   医療事故と特定機能病院の承認に関する質問主意書

一 平成二十六年二月、東京女子医科大学病院において手術を受けた二歳の男児が、鎮静剤「プロポフォール」の投与後に死亡するという事故が発生した。この事故により、同病院は特定機能病院の承認を取り消された。
 同病院は、平成十三年に発生した心臓手術を原因とする死亡事故により、その翌年、特定機能病院の承認を取り消されている。同病院が特定機能病院の承認取り消し処分を受けるのは二回目であり、前代未聞の事態であると考える。厚生労働省は、平成十九年に同病院を特定機能病院として再承認しているが、政府は、この再承認を妥当であったと考えているか、認識を示されたい。

二 平成二十二年から平成二十六年にかけて、群馬大学医学部附属病院において、肝臓の腹腔鏡手術を受けた八人の患者が術後四か月以内に死亡する事故が発生し、この事故により、同病院は特定機能病院の承認を取り消された。
 第三者の立場から、同病院の医療事故調査委員会の委員長を務めた上田裕一・奈良県総合医療センター総長は、同調査委員会の最終報告書提出後の記者会見で、同病院において死亡事故が続いた原因に、「貧弱な体制にもかかわらず経営重視で手術数を増加させようとした病院の姿勢があった」旨を指摘している。
 国立大学が国立大学法人化された平成十六年度以降、国立大学法人に対する国からの運営費交付金が大幅に減少していることを受け、国立大学法人では、法人化以前には求められなかった「経営意識」が特に重視されるようになっている。
 経営意識を持つこと自体は望ましいことだとしても、国が経営意識を国立大学法人に求めすぎることが、死亡事故の原因と指摘される誤った方向の経営重視に繋がった側面があると考えるが、政府の認識を示されたい。

三 第百九十三回国会で成立した医療法等の一部を改正する法律は、東京女子医科大学病院や群馬大学医学部附属病院において前記の医療事故が発生したこと等を契機にしている。
 この法改正で、前記のような医療事故の再発は防止できるか、政府の認識を示されたい。

  右質問する。