質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第一一七号

河野克俊統合幕僚長の自衛隊の根拠規定を憲法に明記することについての発言に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年五月二十五日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   河野克俊統合幕僚長の自衛隊の根拠規定を憲法に明記することについての発言に関する質問主意書

一 河野克俊統合幕僚長は、二〇一七年五月二十三日、日本外国特派員協会で行われた記者会見に際し、安倍晋三首相が自衛隊の存在を憲法に明記する改正に言及したことについて問われ、「憲法という非常に高度な政治問題なので、統幕長という立場から申し上げるのは適当でないと考えている。ただし、一自衛官として申し上げるなら、自衛隊の根拠規定が憲法に明記されるのであれば非常にありがたいと思う」との旨を述べているが、この発言は、自衛隊員の政治的行為を制限した自衛隊法第六十一条に違反するのではないか。

二 全自衛隊員は自衛隊法第五十三条に基づく自衛隊法施行規則第三十九条により「宣誓 私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。」とのいわゆる服務の宣誓を行うことが義務付けられている。
 安倍首相は自民党総裁の立場で自衛隊の存在を憲法に明記する改正に言及したと説明等しているところ、こうした自民党総裁の政治活動に関係して、「一自衛官として申し上げるなら、自衛隊の根拠規定が憲法に明記されるのであれば非常にありがたいと思う」との旨を発言した河野克俊統合幕僚長の行為は「政治的活動に関与せず」とする自衛隊員の服務の宣誓及びそれが基づく法令に違反するのではないか。

三 いわゆる限定的な集団的自衛権が行使できる自衛隊の存在を憲法に明記することは、違憲無効の限定的な集団的自衛権の行使を憲法の規定上も合憲化することになるものであり、河野克俊統合幕僚長の発言は、自衛隊法等の法令に違反するとともに、何よりも憲法尊重擁護義務に違反するものであり、即刻解任すべきであると考えるが、安倍政権の見解如何。

四 国会で多くの野党議員が限定的な集団的自衛権行使は違憲であると安倍政権を追及する中で、河野克俊統合幕僚長の発言は、立法府軽視も甚だしい実力組織の長として極めて不適切なものであり、即刻解任すべきであると考えるが、安倍政権の見解如何。

  右質問する。