質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第一一〇号

六ヶ所再処理工場の稼働により生成されるプルトニウム等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年五月十六日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   六ヶ所再処理工場の稼働により生成されるプルトニウム等に関する質問主意書

 現在パブリックコメントが行われている原子力委員会の「原子力利用に関する基本的考え方(案)」(以下「基本的考え方(案)」という。)において「利用目的のないプルトニウム、すなわち余剰プルトニウムを持たないとの原則を堅持する。」との記載がある。第三回核セキュリティ・サミットにおいて安倍総理は同方針を表明しており、使用済燃料再処理機構井上理事長は、同方針を勘案して事業計画を策定する旨述べている。そこで以下、伺う。

一 日本原燃株式会社六ヶ所再処理工場(以下「六ヶ所再処理工場」という。)が稼働すると年に約八トンのプルトニウムが生成されるようだが、もんじゅを廃炉にすることとした現在、六ヶ所再処理工場で生成されるプルトニウムをプルサーマルだけで消費・利用できる見込みがあるのか。消費・利用の方法とその消費・利用量の計画を具体的に示されたい。

二 現在我が国が保持しているプルトニウムは四十八トン程度と聞いているが、これを平和利用する目途が立たない場合、どのように管理するのか。IAEAに預託し国際管理する、又はプルトニウムをガラス固化して不動態化し、地下処分することにより転用を防ぐなどの方法が国際保障学研究会の報告書で紹介されており、また、米国ではエネルギー省の研究機関が開発した秘密の物質スターダストをプルトニウムに混ぜて希釈し、分離を困難にする方法も行われているようだが、これらの事実について承知しているか。また、これらと同様の管理方法について我が国でも調査研究を行うべきではないか。

三 プルサーマルで発生した使用済みMOX燃料は、その崩壊熱の強さにより、処理・処分が六ヶ所再処理工場で現在行われている再処理よりも更に困難であると予想されている。かつての原子力政策大綱では六ヶ所再処理工場に続く第二の再処理工場を検討することになっていたようだが、現在パブリックコメントが行われている基本的考え方(案)を読んでも、使用済みMOX燃料を具体的にどこでどのように処理・処分する計画なのか明らかではない。今後、どの政府機関が、どのようなスケジュールで使用済みMOX燃料の処理・処分に関する計画を策定するのか、明らかにされたい。

四 生成されるプルトニウムについてしっかりとした処理・処分もしくは平和利用の見通しを示せないまま、六ヶ所再処理工場を稼働させると、国際的な批判を招くのではないか。プルトニウムの処理・処分等の計画が定まらないまま六ヶ所再処理工場を稼働させるべきではないのではないか、見解を示されたい。

五 二〇一四年七月、イスラエルの原子力施設を標的にイスラム原理主義組織ハマスがロケット弾を打ち込んだと報道された。我が国と他国との外交関係が悪化し、万一我が国が武力攻撃を受ける事態となったならば、六ヶ所再処理工場もミサイル攻撃の標的にされる懸念がある。基本的考え方(案)においても「国際的にはテロの対象となり得る可能性が十分あることから、国及び原子力事業者等は、従来の取組に加えて、原子力施設に対するサイバー攻撃等の新たな脅威に対する取組も進めることが求められる。」とある。六ヶ所再処理工場の高レベル廃液貯槽、使用済み燃料プールについて、他国からのミサイル攻撃への技術的対策はどのようになっているのか。五月四日、私の事務所のスタッフが六ヶ所原燃PRセンターを訪れ、同センターの案内スタッフに聞いたところ、「飛行機の衝突実験は行っていますので飛行機は大丈夫です。でもミサイルまではテストしていません。国が守ってくれるのでミサイルは落ちてこないと思います。」との回答だった。米国など他国の再処理工場におけるミサイル攻撃対策についての知見も含め、我が国の再処理工場におけるミサイル攻撃対策を具体的に示されたい。

六 もちろん、この狭い国土に東海・六ヶ所両再処理工場のほか、多数の原発を抱えている以上、我が国が他国からミサイル攻撃を受ける事態には絶対にならぬよう、外交努力に全身全霊で当たるべきことは論を俟たない。ミサイル攻撃に脆弱な核施設が攻撃されると放射能汚染が広がり、戦争の勝敗とは無関係に国内は強く放射能汚染され居住できなくなり、多くの人々を難民にし、国の存続すら怪しくなる。「核施設を抱えて戦争はできない」。我が国は平和憲法を守ることにより国民を守り、決して戦争をしないという覚悟を内外に示すべきではないか、見解を示されたい。

  右質問する。