質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇八号

自衛隊と米原子力空母カール・ビンソンとの共同訓練に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年五月十五日

福島 みずほ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   自衛隊と米原子力空母カール・ビンソンとの共同訓練に関する質問主意書

 自衛隊と米原子力空母カール・ビンソンとの共同訓練をめぐる問題について質問する。

一 自衛隊とカール・ビンソンとの共同訓練の内容等について

 極めて高い攻撃力を有している世界最大規模の米原子力空母カール・ビンソンは、本年三月に二度、自衛隊との共同訓練を実施し、本年四月には西太平洋周辺の海域で本年に入って三度目となる自衛隊との共同訓練を護衛艦「さみだれ」及び「あしがら」とともに実施した。
1 これらの共同訓練について、以下の点を訓練ごとに明らかにされたい。
(1) 共同訓練名
(2) 共同訓練の実施時期及び場所
(3) 目的
(4) 訓練内容の詳細
(5) 統裁官名
(6) 参加部隊、参加人数
2 これらの共同訓練を実施した際の法的根拠と予算上の根拠を明らかにされたい。
3 これらの共同訓練に要した費用の明細を明らかにされたい。
4 これらの共同訓練の実施を決定した機関及び実施を決定した時期を明らかにされたい。

二 「自衛隊法第九十五条の二の運用に関する指針」について

 自衛隊法第九十五条の二は、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍等の部隊の武器等防護のため一定の場合に自衛隊が武器を使用することができるとしており、平成二十八年十二月二十二日に国家安全保障会議が決定した「自衛隊法第九十五条の二の運用に関する指針」では、「我が国の防衛に資する活動」に当たり得る活動として、①弾道ミサイルの警戒を含む情報収集・警戒監視活動、②我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に際して行われる輸送、補給等の活動、③我が国を防衛するために必要な能力を向上させるための共同訓練を掲げている。
1 カール・ビンソンが「弾道ミサイルの警戒を含む情報収集・警戒監視活動」を行っている場合、自衛隊はカール・ビンソンの「武器等防護」を行うことは可能であるか。
2 カール・ビンソン第一空母打撃群ほか米軍が北朝鮮に対して先制攻撃を行う場合、当該米軍の「武器等防護」を行っている自衛隊も前記指針により当該先制攻撃の一翼を担うことが可能であるか。さらに、当該米軍の「武器等防護」を行っている自衛隊が北朝鮮に対して武器を使用することは想定されているのか。想定されている場合、どのようなときに自衛隊は北朝鮮に対して武器を使用するのか。
3 前記一の自衛隊とカール・ビンソンとの共同訓練は、自衛隊法第九十五条の二に基づく武器使用を念頭においたものであるか。
4 米軍の補給艦の防護を目的として、空母に匹敵する自衛隊最大の護衛艦「いずも」を四国沖へ展開させることが報道された。これは、自衛隊がカール・ビンソンとの武器使用を伴う共同軍事行動を行う可能性を示唆するものであるが、自衛隊が武器使用を伴う共同軍事行動を行う可能性の有無についての見解を根拠とともに示されたい。

三 日本がなし崩し的に戦争に巻き込まれる危険等について

 米国は、北朝鮮に対する先制攻撃の可能性も示唆している。自衛隊と米軍との共同訓練は、米軍が北朝鮮を先制攻撃した場合、日本を共同軍事行動に巻き込み、日本が全面的に北朝鮮による報復攻撃の対象となる危険性を高めるものである。
1 前記一の自衛隊とカール・ビンソンとの共同訓練は、日本政府からの働きかけにより実施されたものであるのか明らかにされたい。
2 北朝鮮は米国の北朝鮮に対する「軍事的挑発」に対して、在日米軍基地への報復攻撃を行うことを宣言しているが、米軍の「武器等防護」に伴い自衛隊が北朝鮮を相手に武器を使用した場合、北朝鮮は日本も敵国であるとみなして、日本全土をミサイル攻撃の対象とするのではないか。この危険性についてどのように認識しているのか明らかにされたい。
3 米軍が北朝鮮に対して先制攻撃を行う場合、当該先制攻撃を行うことに国際条約上の問題はないと政府は判断しているのか明らかにされたい。
4 米軍の北朝鮮に対する先制攻撃に自衛隊が共同軍事行動をとった場合、自衛隊の当該共同軍事行動は憲法第九条の枠組みの範囲内であると考えているのか、具体的な理由とともに見解を明らかにされたい。

  右質問する。