質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第八九号

「総理大臣をやめる」との首相答弁に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年四月二十一日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「総理大臣をやめる」との首相答弁に関する再質問主意書

 平成二十九年四月六日に提出した「「総理大臣をやめる」との首相答弁に関する質問主意書」(第百九十三回国会質問第七七号。以下「前回質問主意書」という。)に対する答弁書(内閣参質一九三第七七号。以下「前回答弁書」という。)に関して疑義があるため、以下再質問する。

一 前回答弁書では「お尋ねの「自らの進退に言及する旨の答弁」の意味するところが必ずしも明らかでない」として、前回質問主意書の一に対して明確な答弁がなされなかったが、一般に、内閣総理大臣が国会質疑の答弁において「総理大臣をやめる」との発言を行うことは、国内外に大きな影響を及ぼす極めて重いものであると考えるが、安倍内閣の認識も同様であるとの理解でよいか、改めて明確に示されたい。

二 前回質問主意書の三で「安倍首相が、首相答弁において「この認可あるいはこの国有地払い下げ」に安倍首相あるいは安倍昭恵首相夫人(以下「首相夫人」という。)が「かかわっていた」あるいは「関係していた」ということになれば「総理大臣をやめる」と答弁したのは何故か、その理由を具体的かつ明確に示されたい。」と問うたが、前回答弁書の一及び三から六までについてでは、当該質問に対して明確な答弁が一切なかった。前回答弁書において当該質問に対して明確な答弁を行わなかった理由を明確に示されたい。加えて、前回質問主意書の三に対して改めて明確な答弁を求める。

三 前記一及び二に関して、平成二十九年二月十七日の衆議院予算委員会において安倍首相が「総理大臣をやめる」と発言したことは、現在においても適切であるとの認識か、当該発言の是非について、その理由とともに安倍内閣の認識を明確に示されたい。

四 前回質問主意書の四で「安倍首相は首相答弁当時、本件に関して、本件に係る事務を所掌する財務省、国土交通省あるいは文部科学省に対して、政治家からの不当な働きかけあるいは不公正な取り引きがあった等の認識を持っていたのか、安倍内閣の認識を明確に示されたい。」と問うたが、前回答弁書の一及び三から六までについてでは、当該質問に対して明確な答弁が一切なかった。前回答弁書において明確な答弁を行わなかった理由を明確に示されたい。加えて、前回質問主意書の四に対して改めて明確な答弁を求める。

五 前回質問主意書の五では、安倍首相が前記衆議院予算委員会において「かかわっていた」あるいは「関係していた」との言葉を、その範囲や定義を何ら限定することなく用いていたことを指摘したが、前回答弁書の一及び三から六までについてでは、前記衆議院予算委員会から一か月以上も経った同年三月二十四日の参議院予算委員会における安倍首相の答弁が説明に供された。
 前記衆議院予算委員会において、安倍首相は、学校法人森友学園に係る国有地払い下げ及び小学校認可の経緯に関して「なぜそれが当初の値段より安くなっているかということは、これは理財局に聞いて、もう少し詳細に詰めていただきたいと思いますし、認可においては、大阪府(中略)に確かめていただければいいことであって、私に聞かれてもこれは全くわからないわけであります」と述べるにとどまり、前記参議院予算委員会で安倍首相が述べた「何か政治に籠池さん側から依頼があって、そしてそこに何かお金の流れ、言わば籠池さん側が政治家等に対して様々な便宜を図る中において政治家が応えたのではないか」という疑惑(以下「当該疑惑」という。)との関わりの有無については一切具体的に言及していない。すなわち、「かかわっていた」あるいは「関係していた」との言葉を、その範囲や定義を何ら限定することなく用いていた、前記衆議院予算委員会における安倍首相の答弁と、当該疑惑を具体的に示して、その疑惑に「私も妻も一切関わっていない」とした前記参議院予算委員会における安倍首相の答弁は、その前提から異なり、両答弁の主旨が異なっていることは明白であるが、安倍内閣としても同様の認識であるか否か、理由とともに明確に示されたい。加えて、これらが同じ主旨の答弁であると認識しているのであれば、前記衆議院予算委員会において、安倍首相が当該疑惑に「かかわっていない」あるいは「関係ない」と具体的に述べた部分を抜き書きして示されたい。また当該部分を具体的に抜き書きして示すことができない場合、前記衆議院予算委員会における安倍首相の答弁と前記参議院予算委員会における安倍首相の答弁が同じ主旨であるとは認められず、前記衆議院予算委員会において安倍首相が「かかわっていない」あるいは「関係ない」と答弁したのは、当該疑惑に限定されず、籠池氏側と安倍首相あるいは首相夫人との関係全般についての話であると理解せざるを得ないが、安倍内閣の認識如何。

六 前記衆議院予算委員会で安倍首相は「なぜそれが当初の値段より安くなっているかということは、これは理財局に聞いて(中略)いただきたいと思いますし、認可においては、大阪府(中略)に確かめていただければいいことであって、私に聞かれてもこれは全くわからないわけであります」と述べた。この際、安倍首相は「私に聞かれてもこれは全くわからない」と述べたものの「私や妻に聞かれても」全くわからないとは述べなかったが、それは安倍首相が「なぜそれが当初の値段より安くなっているかということ」あるいは「認可」について、「妻」すなわち首相夫人に聞かれても、「全くわからない」とは言えないとの認識を、前記衆議院予算委員会当時に有していたということか、安倍内閣の認識を明確に示されたい。

七 首相夫人が三月二十三日に自身のフェイスブックに投稿した「籠池さん側から、秘書に対して書面でお問い合わせいただいた件については、それについて回答する旨、当該秘書から報告をもらったことは覚えています。その時、籠池さん側に対し、要望に「沿うことはできない」と、お断りの回答をする内容であったと記憶しています。」という状況(以下「籠池氏とのやり取り」という。)を、安倍首相は前記衆議院予算委員会当時に知っていたのか、明確に示されたい。知っていたのであれば、安倍総理は、なぜ前記衆議院予算委員会において籠池氏とのやり取りに関して説明しなかったのか、その理由を明確に示されたい。また、知らなかったのであれば、安倍首相が籠池氏とのやり取りについて知ったのはいつか、その日時及び誰からどのように知らされたのか、明確に示されたい。

八 学校法人森友学園に対する大阪府豊中市の国有地譲渡等及び当該学校法人の小学校新設に係る設置認可及び当該事案への安倍首相及び首相夫人の関与の有無等に係る一連の問題(以下「本件」という。)に関して、主要報道各社が全国世論調査を行っているが、政府としてこれらの世論調査の直近の結果を把握しているか。把握しているのであれば、それらの結果に対して政府としていかなる認識を持っているのか、加えて、これまでの本件に対する政府の説明は国会答弁を含めて国民が納得するに足る十分なものであったと認識しているか、明確かつ誠実に示されたい。

九 前記一から八までに関して、これらの各質問に対して個別に明確な答弁が無き場合、本件に関する質問に対して明確に答弁することができない、安倍内閣にとって何らかの不都合な事情があると判断せざるを得ないが如何。

  右質問する。