質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第七七号

「総理大臣をやめる」との首相答弁に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年四月六日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「総理大臣をやめる」との首相答弁に関する質問主意書

 平成二十九年二月十七日の衆議院予算委員会において、安倍首相は学校法人森友学園に対する大阪府豊中市の国有地譲渡等及び当該学校法人の小学校新設に係る設置認可(以下「本件」という。)に関する質疑において「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。」、また「繰り返して申し上げますが、私も妻も一切この認可にも、あるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして」、さらに「繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさにこれはもう私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。全く関係ないということは申し上げておきたいと思います」との答弁を行った(以下「首相答弁」という。)。
 以上を踏まえて、以下質問する。

一 一般的に内閣総理大臣が国会質疑において「総理大臣をやめる」といった自らの進退に言及する旨の答弁を行うことは、国内外を問わず非常に大きな影響を与える極めて重い答弁であると考えるが、安倍内閣の認識如何。

二 前記一に関して、第一次安倍内閣発足以降現在に至るまで、安倍首相が国会質疑において「総理大臣をやめる」といった自らの進退に言及する旨の答弁を行ったことは過去何回あるか、進退に言及する旨の答弁を行うに至った簡潔な理由とともに網羅的に示されたい。

三 安倍首相が、首相答弁において「この認可あるいは国有地払い下げ」に安倍首相あるいは安倍昭恵首相夫人(以下「首相夫人」という。)が「かかわっていた」あるいは「関係していた」ということになれば「総理大臣をやめる」と答弁したのは何故か、その理由を具体的かつ明確に示されたい。

四 前記三に関して、安倍首相は首相答弁当時、本件に関して、本件に係る事務を所掌する財務省、国土交通省あるいは文部科学省に対して、政治家からの不当な働きかけあるいは不公正な取り引きがあった等の認識を持っていたのか、安倍内閣の認識を明確に示されたい。加えて、当該認識を持っていなかったのであれば、仮に「この認可あるいは国有地払い下げ」に安倍首相あるいは首相夫人が「かかわっていた」あるいは「関係していた」との事実があったとしても、「総理大臣をやめる」とまで答弁する必要はなかったのではないか、安倍内閣の認識を明確に示されたい。

五 平成二十七年十一月の時点で、首相夫人に対して本件国有地譲渡等に関する情報の報告がなされたことは、当時内閣総理大臣夫人付であった谷査恵子氏から森友学園籠池泰典理事長(当時)に送信されたファクスの文面によって明らかにされている。また首相夫人も平成二十九年三月二十三日、自身のフェイスブックに「籠池さん側から、秘書に対して書面でお問い合わせいただいた件については、それについて回答する旨、当該秘書から報告をもらったことは覚えています。その時、籠池さん側に対し、要望に「沿うことはできない」と、お断りの回答をする内容であったと記憶しています。その内容について、私は関与しておりません。」と投稿しており、「籠池さん側」から「要望」があった旨、またその要望に対して「回答」したという籠池氏との関係を報告として受けていた事実を認めている。
 首相答弁において、安倍首相が「かかわっていた」あるいは「関係していた」との言葉を、その範囲や定義を何ら限定することなく用いた以上、本件に関して、安倍首相あるいは首相夫人が本件に係る事務を所掌する財務省、国土交通省あるいは文部科学省に直接働きかけをしたとの事実が存在しなくとも、首相夫人が本件における国有地譲渡等の経緯に係る情報を平成二十七年十一月の時点で得ていたとの事実は存在するのであるから、首相夫人は「国有地払い下げ」に「かかわっていた」あるいは「関係していた」と言わざるを得ず、首相答弁にある「一切かかわっていないということ」あるいは「全く関係ないということ」にも全く当てはまらないと考える。以上を踏まえて、首相答弁に関する安倍内閣の認識を、国民が納得し得る丁寧な説明をもって明確かつ誠実に示されたい。

六 前記一から五を踏まえても、本件に係る「この認可あるいは国有地払い下げ」に安倍首相あるいは首相夫人が「かかわっていた」あるいは「関係していた」ということになれば「総理大臣をやめる」との趣旨の首相答弁は、現在においても撤回する必要はないとの認識か、安倍内閣として明確に示されたい。

  右質問する。