質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第六三号

拉致問題の広報・啓発に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年三月二十八日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   拉致問題の広報・啓発に関する再質問主意書

 平成二十九年二月十四日に提出した「拉致問題の広報・啓発に関する質問主意書」(第百九十三回国会質問第二七号。以下「主意書」とする)に対する答弁(内閣参質一九三第二七号。以下「答弁書」とする)に関連する事項について、再度質問いたします。

一 主意書の五において、政府拉致問題対策本部が平成二十七年十月に発行した冊子「北朝鮮による日本人拉致問題」(以下「この冊子」とする)について、「「拉致問題Q&A」のQ2「なぜ北朝鮮は日本人を拉致したのですか?」には、「金正日国防委員長(当時)は、日本人を拉致した理由として、(一)北朝鮮のスパイに日本語を教えるため、(二)北朝鮮のスパイが日本人に成りすますため、と説明しています」とあります。政府は北朝鮮が日本人を拉致した理由についてどう認識していますか」と質問したところ、答弁書の五についてで、「拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策」(平成二十五年一月二十五日拉致問題対策本部決定。以下「本部決定」とする)に基づき、拉致に関する真相究明を引き続き追求している旨答弁しています(以下「この答弁」とする)。
 ところが、現在の政府拉致問題対策本部のホームページにある「北朝鮮による拉致問題とは」の「詳細な説明」における「背景」では、「北朝鮮が拉致という未曾有の国家的犯罪行為を行った背景には、工作員による日本人への身分の偽装、工作員を日本人にしたてるための教育係としての利用、北朝鮮に匿われている「よど号」グループによる人材獲得、といった理由があったとみられる」と説明しています。
 北朝鮮が日本人を拉致した理由として日本国民が認識すべきなのは、この答弁、この冊子、現在の政府拉致問題対策本部のホームページでの説明のどれですか。政府としての見解を、その根拠を示し明確にお答え下さい。

二 この答弁にある本部決定の「一.方針」及び「二.具体的施策」の何処を読んでも北朝鮮が日本人を拉致した理由を示す記述が見当たりません。政府は、本部決定のどの記述が、北朝鮮が日本人を拉致した理由を述べているとお考えですか。北朝鮮が日本人を拉致した理由を述べている箇所を本部決定から抜き出してお示し下さい。

三 平成二十三年四月一日に一部変更が閣議決定された「人権教育・啓発に関する基本計画」において、政府は「拉致問題等についての正しい知識の普及を図り、国民の関心と認識を深めるため、啓発資料の作成・配布、各種の広報活動を実施する。(内閣官房、法務省)」としています。
 政府は、今後、「人権教育・啓発に関する基本計画」に基づき国民に拉致問題等を啓発・広報するに当たり、北朝鮮が日本人を拉致した理由について、この答弁に基づいて説明するのですか。それとも、この冊子の記述内容に基づいて説明するのですか。あるいは、前記一の現在の政府拉致問題対策本部のホームページでの説明に基づいて説明するのですか。

四 政府は、この答弁を読んだ国民のうちどれだけの者が、北朝鮮が日本人を拉致した理由を正確に認識できるとお考えですか。
 この答弁は、国民の知る権利を侵害していると同時に、政府の説明責任を放棄しているとはお考えにならないのですか。見解をお示し下さい。

  右質問する。